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第365回10月度例会 活動風景  2016.10.1

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10月に入り秋も深まってきましたが,この時期に次々と台風がやって来ました.
カテゴリーでは最強の部類に属し猛烈な勢いの台風18号は,規模としてはさほど大きく無く予想された進路より北に向かい韓国の済州島に上陸したようです.
その後は猛烈なスピードで駆け抜け,日本海で温帯低気圧となりました.
被害については,当初の予想よりかなり少なかったのがせめてもの救いです.
今シーズンはもうこれ以上の台風は勘弁してほしいと思っていたら,相次いで19号,20号が発生してしまいました.
日本列島には影響は無いようですが,被害にあう可能性のある他国が心配です.

他国の被害といえば,カリブ海のハイチを襲ったハリケーン(マシュー)は900人近い犠牲者を出し,さらにアメリカ南部に上陸し大きな被害をもたらしたようです.
ハイチではコレラなどの疫病の発生が心配されており,杞憂に終わることを祈りたいと思います.

台風も峠を過ぎたかと思うと今度は阿蘇の中岳の噴火です.
36年ぶりの爆発的噴火だそうですが,熊本地震から立ち直りかけた人々にとっては追い打ちをかけるような出来事で,早く終息して欲しいと願わずにはいられません.
世界各地で起こる地震や異常気象は,温暖化や相次ぐ自然破壊に地球が怒っているのでしょうか?
国連気候変動枠組条約 第21回締約国会議(COP21)において,パリ協定がようやく採択されました.
各国の利害が絡み合い難しい問題も山積していますが,各国の協調のもと良い方向に向かうことを期待したいと思います. これで少しは地球の怒りも収まるのではないでしょうか?
それでは研究会も頑張りましょう.10月例会のスタートです.

今回の参加者は 46 名です。



プログラム1 第1症例検討

佐久間幹事が司会を担当し,指名読影者の天野会員が読影しました.

天野:噴門下部前壁やや大彎寄りに,15×15mmの類円形のひだ集中を伴う隆起+陥凹性病変が存在する.
隆起は,なだらかな立ち上がりで表面に結節等の変化はなく,正常粘膜の下に病変が潜った所見だと思う.
陥凹は,やや深くヒイラギ状で内面は平滑,周囲には集中するひだがあり,先端に太まりが見られる.
病型はIIc,胃底腺粘膜領域にあり断崖状の陥凹辺縁より未分化型,深達度はSM2と考える.

細見:背景粘膜では未分化型の癌を疑いたいが,陥凹辺縁のバリウムのにじみ具合から分化型の癌も考えられる.

田中:空気量の変化でもひだ間に変化がなく,陥凹も2段階の深さを持つことよりSMにmassiveに浸潤している.
ひだ先端の性状より未分化型と考える.

結果:M,Gre,Type 2,12×12mm,por2,pT2(MP),sci,INFc,ly1,v0,pPM0(50mm),pDM0(200mm)

詳しい結果は<限定ページ>をご覧下さい.


プログラム2 前回第2症例の説明

白波瀬幹事が説明されました.
司会を担当し,さらにレポートを書くというのは大変な作業です.
症例検討中にはメモを取ることが事ができず,後で動画をチェックしながら書いてゆく訳ですから時間もかかります
. そんな中,組織混在型に関する新しい文献も取り入れられ,内容は充実していました.
一ヵ月間ご苦労様でした.



Coffee break(あれこれQ&A)


「浸潤形式について(INFa,b,cの違い)」

INFa,b,cについてそれぞれ説明されました.
0型では優位差がなく,胃癌取り扱い規約ではSM以深について記載することとなっています.
予後についてはa→b→cの順に悪く,再発についてはa<cであると説明されました.




プログラム3 Lecture & Discussion

『医療安全に関して』
エーザイ株式会社研修本部の戸田博史氏が担当されました.
医療事故は飛行機事故の1万倍…というショッキングな言葉からスタートしました.
続いて,興味深いスライドが次々と提示され,医療従事者が知っておくべき安全対策について詳しく説明が行われました.

『画像調整方法について』
細見幹事が担当されました.
アナログ方式とデジタル方式の違いについて説明され,デジタル方式の画像調整方法について詳しく解説されました.
業者任せの施設が多いと思われますが,何かひとつ物足りないと思われる方々にとって今回のレクチャーは大いに参考になったものと思います.
最後に技術不足をデジタル処理で補うことは出来ないという言葉が非常に頭の中に残りました.


プログラム4 第2症例検討

丹羽幹事が司会を担当しました.
宮崎会員,佐久間幹事が読影に指名されました.

精査の写真で読影がスタートしました.

宮崎:大彎のひだが太く蛇行していることより,ピロリ菌感染のある中程度の萎縮粘膜と考える.
病変は,胃体下部から胃角部にかけての大彎にあり,前後壁にわたって存在する陥凹性病変.
陥凹辺縁がガタガタしており,ひだ集中も見られる.
ひだ間の線状陰影の濃度が変化している部分を結んだ部分が病変の範囲.
集中するひだには中断があり,大小不規則な顆粒もある.
側面像では,病変部の辺縁が内側に入りこんだ陰影欠損様の所見を呈しており,線維化によるものか癌によるものかは判断が難しい.
強い圧迫でもバリウムが残ることより陥凹に深い部分があり,その周りに透亮像が見られることより粘膜下に厚みがある病変である.
最終読影は,腺境界に存在する未分化型のIIc+III型早期癌.
深達度は,側面変形がある割には空気量の増減で病変の形や大きさに変化が見られ非常に迷うが,強い圧迫でヌケのある部分でSMに浸潤していると読影する.

佐久間:胃体下部から胃角部大彎やや前壁寄りに存在する隆起+陥凹性病変で,大きさは20×20?位.
形や大きさの不揃いな顆粒の中心部にヒイラギ状の陥凹がある.
強い圧迫でバリウムが残っている部分は深く,辺縁にけば立ちが見られる.
集中するひだの先端には中断,太まりが見られる.
隆起は圧迫で結節様を呈し,ある程度の硬さがある.
以上よりIIa+IIc型の早期癌,深達度SM2,未分化型と読影する.

井上(啓):ひだ間のにじみは,IIcの内面であるという証拠.
大小不同の顆粒は,池の中にある石のごとくIIc内面の再生上皮を示している.
宮崎が指摘したIIIの部分はそれほど深くなく,IIcの範疇である.
側面像の変形は空気量が少ないために誇張されており,空気量の多い写真ではそれ程ではない.
空気量の多い写真でも同様の変形があれば進行癌で良いと思うが,今回は違う.
未分化型のIIcでよいと思う.

結果:M, Gre, Type 0-IIc, 5×27 mm, por2>sig, pT2(MP), sci, NFc, ly0, v0(EL), PM0(70mm), DM0(100mm)

詳しい結果は<限定ページ>をご覧下さい.


(記:福本 弘幸)

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