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第363回8月度例会 活動風景 2016.8.6 |
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大阪は真夏日。日中は猛暑が続き、毎晩が熱帯夜です。
皆様方の地域は如何ですか?
ただでさえ寝苦しく睡眠不足に成りがちなのに、更に追い打ちをかけるように蝉が鳴いています。
まさに騒音ともいえる音量で「いいかげんにしろ!」と怒鳴りたくなりますが、蝉相手では通じません。
何年も暗い土の中で暮らし、成虫となっても1〜2週間で死んでしまう。
その間に子孫を残すために雌蝉を求めて必死で鳴いているのですから、同性の男としては応援しましょう。眠いですが…。
話は変わりますが、リオデジャネイロのオリンピックが始まりました(この原稿を書いているのは8月初旬です)。
4年後の東京オリンピックに繋がるような素晴らしい結果を残して欲しいですね。頑張れ日本! 我々も代表の方々に負けないように頑張りましょう!
では、研究会のスタートです。
今回の参加者は 113 名です。
プログラム1 会長挨拶
歴代会長及び各委員、現幹事、当日のプログラムを紹介した動画が披露された後、吉本会長が挨拶されました。
“威風堂々”のBGMが、会則制定30周年記念にはぴったりあっていました。
プログラム2 前回第2症例の説明
川岡幹事が担当しました。
珍しいひだの集中を伴う隆起性病変でしたが、隆起性病変と陥凹性病変の鑑別について詳しく考察されていました。
いつもの例会とは違い会場には多くの参加者がおられましたが、実に堂々と説明されました。
かなりのプレッシャーだったと思いますが、一か月間ご苦労様でした。
プログラム3 VS 読影「名誉会員選抜 VS 幹事選抜」
司会は西戸副会長、コメンテーターに吉本会長と特別講演講師の馬場保昌先生をお迎えし、VS読影が行われました。
名誉会員からは柏木、井上啓、板谷会員が、幹事からは田中幸、細見、丹羽幹事が選抜されました。
症例写真が1枚につき10秒スクリーンに投影され、読影が始まりました。
幹事選抜チーム
胃体部のひだはほとんど消失しており、胃角部〜前庭部にかけて胃小区の粗大化が見られるので中程度の萎縮性粘膜と考える。
病変は、胃体中部〜胃角部の後壁に見られる50×30mm位の不整形な浅い陥凹性病変で、口側境界ははっきりしないが肛門側大彎寄りに、より深い部分が見られる。
深い部分に向かって大彎側からひだの集中があり、先端にやや太まりがある。
浅い陥凹底には顆粒が複数見られ、空気量の増減で病変の大きさに変化があることより軟らかい病変と考えるが、圧迫ではひだの太まった部分に一致してヌケ像があり、粘膜下に厚みを感じる。
以上より分化型のIIc型早期癌、深達度は概ねMだが、ヌケ像のある部分でSMに浸潤している。
名誉会員選抜チーム
病変の部位はほぼ同じであるが、口側の範囲をやや狭く取り40×30mmとする。
肛門側大彎寄りにひだ集中を伴う陥凹があり、形が不整形であることよりIIcと考える。
その他の粘膜不整部分は、明らかなバリウムの溜りがなく、顆粒が密に集簇していることよりIIaと考える。
これらは一連の病変と考えられるので、併せてIIa+IIc型の早期癌とする。
深達度は、概ねMであるが、圧迫像で陥凹の小彎側にヌケ像があり、その部分でSMに浸潤している。
病理結果については、札幌厚生病院の市原真先生にご教授を受け、吉本会長が解説しました。
結果:M, Post, pType 0-IIc+III, 35×20 mm, tub1>tub2>>por2, pT1b1(SM1, 50μm), ly1, v0, UL(+), pN0, pPM0, pDM0, Stage IA, R0, Cur A
最後に馬場先生より以下のコメントを頂きました。
key filmとして選択すべき写真が選ばれていなかった。
空気量を増やした像があれば大彎側の融合したひだを分離することができ、深達度を読み間違えることはなかったのではないか。 陥凹小彎側のヌケは、粗大化した胃小区を見ている可能性がある。硬さを見るには、より強い圧迫が必要である。
詳しい結果は<限定ページ>をご覧下さい.
Coffee break(あれこれQ&A)
「深達度の読み方3−側面像編」
坂本幹事が担当しました。
病変の側面像における無変形、弧状変形、台形状変形の写真を提示し、壁変形が深達度の指標となることが示されました。
今回提示された弧状変形の写真では深達度はSM、台形状変形の写真では深達度SSでした。
次に側面変形による深達度読影がしにくい部位として、噴門下部後壁・胃体下部大彎をあげ、管腔の折れ曲がりや空気量に深く関係すると締めくくられました。
プログラム4 動画閲覧「胃X線診断に必要な事柄」
東京Jr.胃会代表世話人の宮崎武士先生が、馬場保昌先生監修のもと作成されたビデオを視聴致しました。
「人間の能力には限界があり、3つが一番覚えやすい。X線検査、読影ならびに診断にとって意義のある事柄を述語としてまとめておくと覚えやすい。」という馬場先生のお言葉から始まり
診断の三歩として、一歩:異常像を探し出す(撮影)、二歩:病変の成り立ちを読み取る(読影)、三歩:当てはまる病変を選択する(鑑別診断)といった事柄について丁寧に解説されていました。
あまりにも内容が濃すぎて、ビデオのスピードについてこれなかった方もいらっしゃるかもしれませんがご安心ください。
データを頂いていますのでご希望の方は会場にてお申し込み下さい。
プログラム5 会則制定30周年記念特別講演
『胃X線検査における良悪性判定の考え方』待ちに待った馬場保昌先生による特別講演です。
沢山の分かりやすいスライド、素晴らしい症例写真に我を忘れて見入ってしまいました。
従来は、異常像を覚えることを念頭に良悪性の判定を行っていましたが、あまりにもバリエーションが多く基準を作ることが困難でした。
そこで、「正常像からの形態的な“かけ離れの程度”」に着目して良悪性を判定しようという新しい考え方をお聞きしました。
今までにない斬新な考え方で戸惑いもございましたが、だれもが共有できる判定基準作成に向け、考えを新たにすることが出来ました。
具体的な読影基準は未だ完成していないとのことでしたが、完成した暁にはあらためて先生のお話をお聞きしたいと思いました。
馬場先生、長時間のご講演本当にありがとう御座いました。
(記:福本 弘幸)
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