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第362回7月度例会 活動風景 2016.7.2 |
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暦の上では立秋ですが,まだまだ暑さが厳しいですね.
今年は,大阪消化管撮影技術研究会の会則制定30周年にあたります.
30年という長い期間,いろいろな出来事もあったと思いますが,組織を運営されていた諸先輩方には敬服の念しかありません.
イチローの名言の中に
「夢や目標を達成するには1つしか方法がない.小さなことを積み重ねること」
というものがあります.
だれもが継続する事の難しさを知っていますが,我々には「救命可能な消化管がんを早期に発見する」という大きな目標があります.
それを達成するために撮影や読影に関する小さなことを積み重ねていかなければなりません.
その機会を大阪消化管撮影技術研究会が提供できればと思います.
今後も共に努力していきましょう.
それでは7月例会のスタートです.
今回の参加者は 48 名です。
プログラム1 第1症例検討
三浦幹事が司会,奥田会員が読影を担当しました.
発見前年検診写真
奥田:胃体上部後壁中央と胃体中部後壁中央にバリウム斑を認める.
田中幸:胃体下部後壁小彎寄りにバリウム斑を認める.
福本:胃角部後壁中央に線状のバリウムの溜りを認める.
発見年検診写真
奥田:前年指摘した部位に所見はない.
胃角が開大し小彎線には複数のラインが見える.
胃角部後壁小彎寄りに不整形なバリウム斑が見られ,周囲は軽度に盛り上がっているので病変の首座と考える.
全体的に伸展不良で胃体部前壁の粘膜ひだも太くなっている.
胃体上部〜前庭部にかけて全周にわたって浸潤する4型進行癌(スキルス癌)を疑う.
井上啓:ほぼ同意見であるが,胃角の電球様の開大所見は進行癌の特徴的な所見である.
レトロスペクティブに振り返ると,発見前年の写真でも胃角の二重ラインは指摘可能であり,胃体下部〜胃角部のバリウム斑も病変の一部が描出されていたと考えられる.
このようなわずかな所見を見逃さないことが大切であると感じた症例であった.
結果:MU, circ, Type 4, 110×110mm, sig > por2>tub2, pT3(SS), INFc, ly1, v3, pDM0(20mm), pPM0(30mm)
詳しい結果は<限定ページ>をご覧下さい.
プログラム2 前回第二症例レポート報告
山田哲会員が担当しました.
陥凹内の隆起をSM浸潤とするのか残存粘膜(再生上皮)とするのか,陥凹辺縁の隆起をどうとらえるのかについて考察されました.
1ヶ月間お疲れ様でした.
Coffee break(あれこれQ&A)
「深達度の読み方-圧迫編-」というテーマで細見幹事が担当しました.
胃潰瘍瘢痕とSMに浸潤したIIc型早期癌の違いについて圧迫像の観点からイラストを用いて説明されました.
良性潰瘍の場合,一点を中心として放射状に線維化細胞がひろがる為,陥凹中心部が厚く,辺縁に向かうにしたがって薄くなる.
結果,圧迫像の陥凹周囲の隆起辺縁は不明瞭になる.
対してSM浸潤したIIc型早期癌は,癌細胞の周囲に線維化細胞が広がる為,癌の浸潤量に比例して厚く硬くなる.
SMにmassiveに浸潤すると,粘膜下にしっかりと厚みを持ってくるため,圧迫像の陥凹周囲の隆起辺縁は明瞭になるとの事でした.
プログラム3 Lecture & Discussion
「基準撮影法で病変を拾い上げるポイント」として,西戸副会長からレクチャーがありました.
眼力運動から始まり,椎体に隠れた病変画像の紹介とつづき,透視中に病変の拾い上げをするために必要な事としてバリウムを流しながら観察することが有用であると述べられました.
胃形ごとのバリウムの流し方の説明は,実践ですぐに使ってみたくなるものばかりで非常に興味深い内容でした.
その他,良悪性の質的診断ができるような撮影をするための工夫を,基準撮影体位ごとに説明されました.
詳しくは<限定ページ>をご覧下さい.
プログラム4 第2症例検討
藤本幹事が司会,米谷幹事と宮崎会員が読影を担当しました.
米谷:前庭部小彎に,ひだ集中を伴う20mm前後の不整形な陥凹性病変を認める.
陥凹内面は平滑であるが,圧迫で抜け像があることからSMに浸潤したIIc型早期癌(分化型)と読影した.
宮崎:同部位に25mm前後の辺縁不整を伴う病変を認めるが,隆起性病変と考える.
立ち上がりは明瞭な部分と不明瞭な部分が混在しており,周囲粘膜と比較すると粘膜模様は大きく高低差がある.
内面に2カ所のひだ集中を認め潰瘍瘢痕を伴うと考える.
分化型のIIa型早期癌,深達度Mとした.
井上啓:宮?とほぼ同意見.辺縁の所見は外に凸状となっており隆起性病変と捉えるのが適当である.
能瀬:隆起も陥凹も混在しており病変は多彩である.立位充盈像で硬さが見られない事から悪性リンパ腫とした.
田中幸:宮?と同意見.SM浸潤した陥凹性病変にしては圧迫像,立位充盈像,側面像で硬さが見られず矛盾がある.
結果は,札幌厚生病院の市原先生の詳細な解説を吉本会長が代読した.病変中心部の相対的に丈の低い部分をIIcととらえるのかIIaの高低差と捉えるのか.非常に興味深い症例であった.
結果: L, Less-Post, Type 0-IIa(+IIc), 45×45mm, tub2, pT1a(M), ly0, v0, pN0, pDM0 , pPM0
詳しい結果は<限定ページ>をご覧下さい.
(記:細見 聡)
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