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第356回1月度例会 活動風景  2016.1.9

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残寒の候,皆様風邪など召されずにお過ごしでしょうか.
近頃若者のテレビ離れが進み,大和総研の2011年までの調査データでは,20代のテレビ平均視聴時間は2.06時間とあります.
若者ではない私も,御多分に洩れずテレビ,特にドラマを見る機会が減っているのですが,2016年1月から始まっている「フラジャイル」というドラマには注目しています.

漫画が原作となっている医療関連のドラマは多数ありますが,病理医が主人公となる珍しいもので,「型破りの偏屈病理医が人の命に正面から対峙する人間ドラマ」がテーマとなっています.
天才外科医の話は,何となくヒーロー戦隊ものと同列で架空の話のように感じますが,偏屈病理医と聞くとグッと身近に感じるのは職業病でしょうか.
診療放射線技師が主人公の漫画は既にあるので,今後は私達のような技師が活躍するドラマが見られるかもしれませんね.

それでは研究会のスタートです.

今回の参加者は 48 名です。



プログラム1 第1症例検討

坂本幹事が司会,武田会員が読影を担当しました.

武田:前庭部大彎に,25×25mmのほぼ円形で波状の辺縁を呈する陥凹性病変を認める.
陥凹の中心部はやや深くなっており2段階の深さを呈している.
口側辺縁は一部明瞭であるが,その他は正常粘膜からなだらかに陥凹に移行している為ハッキリしない.
周囲にひだ集中を伴い陥凹内にもひだは残存しているが,陥凹内のひだはなだらかに先細りし,1点に集中している.
病変の側面像で軽い彎入を認めることから若干の硬さがあると考える.
以上より一部に悪性を示唆する部分もあるが,曖昧であることより良性潰瘍と読影した.

佐久間:ひだ集中を認めるがその先端に悪性の所見を認めず,明らかな陥凹面も指摘出来ないことより潰瘍瘢痕と読影した.

田中幸:集中するひだに,折れ曲がりや細まり等の悪性所見を認める.
分化型のIIc型早期癌,深達度Mと読影した.

西戸:IIc型早期癌なら,集中するひだにもっと明瞭な悪性所見が出るはずである.ひだの細まり自体は良性潰瘍でも見られる所見なので悪性所見とはとらない.陥凹中心にバリウムの溜まりがあるが,これは以前に深い陥凹があったために完全に粘膜面がふさがらない領域性瘢痕に相当すると読影した.

細見:肛門側ひだ先端に断絶を認める.範囲は田中と同じであるが,未分化型のIIc型早期癌,深達度Mと読影した.

結果:ESD後の潰瘍瘢痕(癌の残存無し)

詳しい結果は<限定ページ>をご覧下さい.


プログラム2 前回第2症例の説明

桑原幹事が担当し,隆起型の早期癌と進行癌の鑑別についてまとめられました.

撮影する際には圧迫法が不可欠であるが,全体像を描出できないこと,偽造を形成することがある為,二重造影法も必須である.
二重造影法は,やや空気量を多めにしてバリウムを流すことにより前後壁を撮り分ける必要がある.
有茎性,無形性の鑑別のためには二重造影法で病変の側面像を撮影することが必須であると述べられました.

正月休み返上の1ヶ月間,どうもお疲れ様でした.



Coffee break(あれこれQ&A)

「77区域の同定」というテーマで藤本幹事が担当しました.

Stomapを中心に,胃癌取扱い規約のUML分類やその他の分類法を実際の写真を用いて解説され,各部位が様々な分類法でどの部分に相当するかを検討されたのがユニークでした.

吉本会長から,UML分類と空気を入れた胃X線写真とではうまく対比ができない事と,現在いろいろな分類法が混在しているがどれも間違いではなく,指針が統一されれば速やかに情報提供すると説明がありました.



プログラム3 Lecture & Discussion
「体位変換とバリウムの動きについて」

「異常像と思ったら何をすべきか2」として,西戸副会長からレクチャーがありました.

追加撮影をする場合のポイントと,どのタイミングで撮影すれば良いのかを,様々なパターンについて解説されました.
存在確認をするための追加撮影と,質的読影をする追加撮影は異なり,病変部にバリウムを流すことは重要であるが,バリウムが十二指腸に流出することを考慮したうえで追加撮影のタイミングを決定すべきだとの意見を述べられました.



プログラム4 第2症例検討

細見幹事が司会,藤本幹事と竹内会員が読影を担当しました.

藤本:胃体上部前壁中央に15×10mmの陥凹性病変を認める.
ギザギザとした辺縁を持つ「なめくじ」様の形で,陥凹境界は明瞭,陥凹底には若干の凹凸があり,概ね浅いが2段掘れになっている.
ひだ集中はなく,陥凹周囲になだらかな立ち上がりの隆起を伴っており,その表面粘膜は周囲の正常粘膜と同様の模様を呈している.
空気量の違いにより陥凹の形が変わるので柔らかい病変ではあるが,周辺隆起は粘膜下浸潤による影響と考え,未分化型のIIc型早期癌,深達度SMと読影した.

竹内:当初藤本と同じ部分を病変の範囲としたが,後に大彎側に広い範囲に変更した.
ギザギザとした辺縁を持ついびつな三角形の陥凹性病変で,陥凹境界は明瞭,陥凹は浅く,底部に若干の凹凸を認めるが顆粒等ははっきりしない.
ひだ集中はなく,陥凹周囲に立ち上がりなだらかで周囲粘膜と類似した表面構造をもつ隆起を認めるが,反応性隆起と考え深部浸潤を否定した.
空気量の違いにより陥凹の形が変わるので柔らかい病変と考え,未分化型のIIc型早期癌,深達度Mと読影した.

西戸:病変の範囲は竹内と同じとし,陥凹周辺隆起は粘膜下浸潤の影響と考える.
未分化型のIIa+IIc型早期癌,深達度SMと読影した.

田中幸:竹内よりも更に肛門側に広い範囲で陥凹性病変を指摘.
空気多量の写真では周辺隆起は不明瞭となるが,空気少量の写真では腫大したひだの上に乗るように陥凹が存在していることより,粘膜下には充実性の変化があると考え,未分化型のIIc型早期癌,深達度SMと読影した.

井上:田中と同じ範囲で,陥凹周辺の隆起は反応性によるもの.
側面変形もないことから未分化型のIIc型早期癌,深達度Mと読影した.

結果:U, Ant, Type 0-IIc, 27×22mm, por1>tub2, pT1b2(SM2 1.3mm), ly0, v0, pN0, pDM0, pPM0

詳しい結果は<限定ページ>をご覧下さい.



(記:細見 聡)

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