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第355回12月度例会 活動風景  2014.12.5

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突然ですが、今冬も暖冬なのでしょうか。
12月も半ばを過ぎようとしていますが、大阪ではコートがなくても良い位暖かな日々が続いています。
皆様方の地域は如何ですか?

スポーツの秋は終わりましたが、これからはマラソンや駅伝の季節ですね。
来年はリオのオリンピックもあり代表選考レースが順次行われる予定ですが、一番盛り上がるのは何といっても箱根駅伝ではないでしょうか。
2015年は青山学院大学が大会新記録でぶっちぎりの完全優勝を成し遂げましたが、優勝の立役者で新たな山の神と称される神野選手が二度の足の骨折により調整が遅れているのが心配です。
青山学院大学に続くのが東洋大学、駒沢大学と言われてお
り、早稲田大学も有力です。
抜きつ抜かれつの素晴らしいレースを期待しましょう。 私は、東洋大学の「その1秒を削り出せ」というスローガンが非常に気に入っており、応援したいと思っています。

当研究会も来年のスローガンとして「その早期がんを写し出せ!」なんていうのはどうですか?
それでは今年最後の研究会、頑張りましょう。忘年会も待っています。それではスタートです。

今回の参加者は 52 名です。



プログラム1 第1症例検討

三浦幹事が司会を担当しました。

基準撮影法で撮影された8枚の写真がスライドに提示され、病変のチェックから始まりました。
読影者には北野会員が指名されました。

北野:背臥位二重造影第2斜位で胃角部後壁中央に病変の存在を疑わせるひだ集中様所見を認める。

小川:胃体下部の大彎線がつっぱっているのではないか。
背臥位二重造影第1斜位でも同様の所見を認める。
北野が指摘した病変による間接所見かもしれない。

福本:背臥位二重造影第2斜位の振り分け像で、胃体上部後壁小彎寄りに陥凹性病変を認める。

次に追加撮影の写真がシャウカステンに提示され、全写真による読影が開始されました。

北野:福本が指摘した部位に陥凹性病変があり、バリウムを流した写真ではっきりと溜まっている。
形は不整な地図状、浅い陥凹で底部には大小不同の顆粒が見られる。
ひだ集中があり、大彎からのひだに中断、小彎からのひだに細まり所見がある。
病変は陥凹のみで硬さは感じられずIIc型早期癌の未分化型、深達度はMと思う。

小川:小彎側のバリウム付着が悪く読影しづらい。
右側臥位の撮影後頭低位でバリウムを戻して来れば付着が良くなるはずである。
陥凹底の大きくて丈の高い顆粒を島状残存粘膜と取るかSM浸潤による隆起と取るかによって深達度が変わってくる。
私はSM浸潤による変化と読む。

西戸:私も島状残存粘膜にしては高さがあるので、口側大彎側の大きな顆粒部分でSM1程度に浸潤していると思う。

結果:U, Post, Type 0-IIc, 30×30mm, por, pT1a, P0, H0, stageIA

詳しい結果は<限定ページ>をご覧下さい.


プログラム2 前回第2症例の説明

末廣会員が担当しました。
胃のX線撮影を始めて1年と数か月で初めてレポートを担当されました。
しかも今回の症例は、病変の範囲も分かりづらく大いに苦労されたと思いますが、初めてとは思えないすばらしいレポートでした。

一カ月間ご苦労様でした。次回も期待しています。



Coffee break(あれこれQ&A)

坂本幹事が担当しました。

4コマの写真を提示し、病変が指摘できるかを問いました。
バリウム付着は良いのですが、病変の指摘は難しいと思われました。
次にバリウムを流した写真が提示されると、その写真には病変がはっきりと写っています。

坂本幹事は背臥位での左右交互変換でバリウムを流した時に、陥凹性病変周囲のハジキ像で異常に気付かれたそうです。
二重造影像でいくら粘膜面が描出されていても病変が指摘できない事もある。
粘膜模様を描出させるだけではなく病変を写し出すことが大切である。

そのためにはバリウムを動かす必要があり、正常部位とのわずかな違いをバリウムの流れの異常から発見することが重要であると説明されました。



プログラム3 Lecture & Discussion
「体位変換とバリウムの動きについて」

細見幹事が担当しました。

基準撮影法Iでのバリウムの通り道を動画を使って提示し、付着不良を改善するにはどういう体位他変換が必要であるかを詳しく解説されました。

同じ体位変換でも胃形により流れる部位が異なるので注意が必要です。
基準撮影法の弱点を知り、体位変換の違いによるバリウムの動き方の違いを知れば、より上質な胃X線検査が可能となると締めくくられました。



プログラム4 第2症例検討

桑原幹事が司会を担当しました。
石黒会員と細見幹事が読影に指名されました。

検診写真での読影

石黒:胃体中部を中心に、広基性の隆起性病変がある。
口側は前壁小彎寄りから肛門側は後壁にまで及び、一連の病変であると思う。
バリウムを流した写真で表面に不整形の溜まりを認め、陥凹の存在を疑う。
表面の性状は滑らかに見えるが、辺縁には上皮性の変化を示唆する切れ込みが見られる。
   
細見:病変は二つあると考える。口側は大きさ30mm程度の円形の隆起性病変でくびれをもっている。
表面に陥凹はなく周囲の粘膜と同様であることよりGISTと考える。
肛門側は、後壁小彎寄りに瓢箪様の隆起性病変が見られ、大きさや表面性状より線種を疑う。
   
田中:口側の病変はくびれをもった立ち上がりであり進行癌は否定する。
よって深達度SMのI型の早期癌。
肛門側の病変は、上部が急峻で下部がなだらかな立ち上がりを呈する早期の癌か。
   
井上:口側の病変は、亜有茎性の立ち上がりで硬さが感じられないのでI型早期癌の深達度SMないしは肉腫も考える。
肛門側の病変はやや丈が低くこちらもI型の早期癌で、二つの病変の間には正常な部分があり一連の変化ではないと考える。
   
精査の写真での読影

石黒:検診の写真で指摘した口側隆起のさらに上にも低い隆起がある。
肛門側のやや丈の低い隆起は、管腔のおおよそ1/3周位に及び陥凹を伴っている。
大きさが70mmに及ぶ3型進行癌と考える。

細見:病変は一つ。石黒同様に低い隆起が口側に広がっている。
後壁側の病変とはやはり低い隆起で小彎を挟んで連なっている。
表面に陥凹はなくI+IIa型の早期癌と考える。

小川:口側の病変は可動性のある亜有茎性の隆起で、肛門側の病変との間に丈の低い隆起で連なっている。
圧迫撮影で口側隆起の表面には不整形の陥凹があり、I+IIa+IIc型といった複雑な肉眼型であることより5型の早期癌とする。


結果:M, Less, Type 1, 87×37mm, tub1>tub2, pT1b2(520μ), ly1, v1, pN2(5/76), pPM0(36mm), pDM0(85mm), P0, CY0, H0, M0, Stage IIA

詳しい結果は<限定ページ>をご覧下さい.



(記:福本 弘幸)

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