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第354回11月度例会 活動風景  2014.11.7

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こたつの恋しい季節になりましたが、皆様お変わりございませんか?
“こたつ”と言えば、近年売り上げが落ちているというニュースを耳にしました。
日本電機工業会のまとめでは、電気こたつの国内生産台数が1990年は約178万台だったのに対し、2003年には24万7000台にまで激減。2004年以降は、国内で生産しているメーカーが少なくなったため、調査対象から外されてしまっているというのが現状です。
洋室が増えエアコンが普及したことが原因といわれていますが、ご多分に漏れず私の自宅も全て洋室、こたつは置いていません(置かせてもらえません)。
時代の流れと言えばそれまでですが、こたつの気持ち良さを知っている者のひとりとしては少し寂しい気がします。

消化管X線検査が“こたつ”にならないように、今我々にできることを精一杯頑張っていきましょう。それでは研究会のスタートです。

今回の参加者は 46 名です。



プログラム1 第1症例検討

山本泉幹事が司会、荒田会員が読影を担当しました。

荒田:胃体下部後壁小彎寄りに20×20mmの低い隆起性病変を認める。隆起の立ち上がりは肛門側の一部を除いて明瞭、表面は周辺粘膜と似た模様を呈しており一部にバリウムの溜まりを認める。この溜まりは境界が不明瞭で範囲の同定が困難なため、隆起と隆起の間に溜まったバリウムであって陥凹ではないと考える。辺縁は口側の一部に切れ込みがあり不整な部分を認めるが、肛門側ははっきりしない。強い圧迫で隆起の形が変わることから柔らかい病変と考え、分化型のIIa型早期癌、深達度Mと読影した。

田中幸:隆起の辺縁は明瞭な部分と不明瞭な部分があり、全体的には立ち上がりのなだらかな隆起であると考える。表面には深い陥凹と浅い陥凹を認め、圧迫写真でもバリウムを流した写真でも恒常性がある。圧迫像で隆起の幅が変わらないことと、立ち上がりがなだらかなことより粘膜下に癌浸潤のよる厚みがあると考え、IIa+ IIc型早期癌、深達度SMと読影した。

小川:圧迫像では、SM浸潤を疑うほど隆起の辺縁は明瞭ではない。分化型のIIa+ IIc型早期癌、深達度Mと読影。

宮崎:周囲粘膜と隆起表面の模様にかけ離れが少ない。恒常的なバリウムのたまりは認めるが、陥凹とは考えにくい。以上より腺腫と読影。

M, Post,Type 0-IIc, Poorly differentiated adenocarcinoma with lymphoid stroma, pT1b2(SM2),ly0,v0,pHM0,pVM0

詳しい結果は<限定ページ>をご覧下さい.


プログラム2 前回第2症例の説明

塩村会員が担当しました。
表層拡大型早期癌とMALTリンパ腫の特徴と鑑別についてまとめられています。
自施設の勤務が忙しい中、1ヶ月間お疲れ様でした。



Coffee break(あれこれQ&A)

「病変の硬さについて」というテーマで坂本幹事が担当しました。
癌の硬さは、癌細胞によって生じる線維化で粘膜下層の厚みが増すことで生じ、圧迫像・側面像による壁変形・空気量の違いによる病変の大きさの変化で描出できると説明がありました。
硬さの感覚を養うのに風船の一部にテープを貼って伸展性を変化させたり、進行癌と胃潰瘍の圧迫像を比較すると進行癌の辺縁の境界の方が明瞭であるなど、普段なかなか聞けない読影のコツを伝授して頂きました。

会場からは、胃外性の圧排と進行癌による変形の鑑別はどうすべきかとの質問があり、これに対し進行癌は通常、壁変形で両側に明瞭な硬化所見があるのに対し、胃外性圧排による変化はなだらかであると回答されました。



プログラム3 Lecture & Discussion
「L領域(前庭部〜幽門)の撮影法」として、川岡幹事と坂本幹事からレクチャーがありました。

まず川岡幹事から基準撮影法のどの写真でL領域が写っているかの解説があり、小彎や大彎近辺にある病変には圧迫撮影が有効であると説明がありました。

次に坂本幹事から病変を見つけた際の追加撮影法として、バリウムを病変部に流した撮影、空気少量による撮影、圧迫撮影について症例を提示しながら解説されました。
病変の描出や胃形の矯正に圧迫法は重要ですが、骨折のリスクを十分考慮したうえで実施する必要があると説明がありました。



プログラム4 第2症例検討
岩瀬副会長が司会、佐久間幹事と米原会員が読影を担当しました。

充盈像のチェック
米原:胃体下部大彎に辺縁不整を認め1番でチェック。

佐久間:幽門前部大彎に陰影欠損+陰影突出像を認める。隆起+陥凹性病変の存在を疑い2番でチェック。
胃体下部大彎の辺縁不整を5番でチェック。

田中幸:胃体上部から中部小彎近傍の粘膜不整を2番でチェック。

小川:田中と同部位にひだ集中を認め2番でチェック。

全フィルムのチェック
米原:胃体下部後壁中央に5×5mmのひだ集中を伴う浅い陥凹性病変を認める。陥凹の形は地図状で内面には顆粒を1つ認める。辺縁は細かな内に向かって凸状を呈することより分化型のIIc型早期癌と考える。口側のひだ先端に太まりを認め、深達度はSM。

佐久間:胃体下部後壁に50×30mmのひだ集中を伴う浅い陥凹性病変を認める。陥凹の範囲は不明瞭なので、ひだの中断部分を境界とする。口側と肛門側のひだの一部にペン先状の細まりを認める。陥凹内面は不明瞭であるが、大彎側の一部に顆粒を数個認める。空気量の違いにより病変の形状が変わる為、柔らかい病変と考える。未分化型のIIc型早期癌、深達度Mと考える。

田中幸:病変部分を多く撮影しているにもかかわらずバリウムが付着しないということ自体が異常である。つまり付着していない部分に病変があると考える。粘膜下に浸潤した癌の影響で、粘膜表面にバリウムが付着しにくいのではないか。

小川:田中同様、胃体下部後壁のバリウムが付着していない部分に陥凹性病変があると考える。明確な陥凹の範囲や癌の根拠は提示できないが、IIbに近いIIc型早期癌があると考える。これとは別に大彎側に顆粒が目立つ部分があり、狭い範囲のIIc型早期癌を疑う。

吉本:小川の指摘した2カ所を一つの病変と考える。病変の肛門側に陥凹の境界と思われる辺縁を認め、その一部に蚕食像がある。IIc型早期癌、深達度Mと考える。

結果:M,Post,0-IIc,Carcinoma with lymphoid stroma,pT1a(M),ly0,v0,pPM0,pDM0,R0

詳しい結果は<限定ページ>をご覧下さい.



(記:細見 聡)

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