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第353回10月度例会 活動風景  2014.10.3

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雨天続きで始まった初秋ですが、10月に入って秋が深まるに連れ穏やかな天候となってまいりました。
皆様方は如何お過ごしですか。
食欲の秋、読書の秋などと言われますが、何と言ってもスポーツの秋でしょう。
何とラクビーワールドカップにおいて、我が日本チームは世界ランキング3位で優勝候補の南アフリカ共和国に勝利してしまいました。
マイアミの奇跡と言われたアトランタオリンピックにおいて、サッカーの日本チームがブラジルを破った時以上の快挙です。

ネット上ではいろんな表現で衝撃を表していますが、例を挙げると女優の桐谷美玲さんがレスリングで世界チャンピオンの吉田沙保里選手に勝つとか、具志堅用高氏が数学オリンピックで金メダルを獲得するなど、かなりユニークなものもありました。
世界中では世紀の番狂わせと報道されていますが、本当にそうでしょうか?
選手たちにとって4年間の練習は質、量ともにどの国にも負けていないと自負しているようです。
その自信とチームワーク、相手チームの分析がもたらした勝利と言えるのではないでしょうか。
その後スコットランドには負けてしまいましたが、サモア、アメリカの両国に勝ち3勝1敗とすばらしい成績でした。


結果的には予選敗退となってしまいましたが、この成績で敗退するのはワールドカップ史上初とのことです。
本当に残念ですが素晴らしい感動を与えて頂きありがとうございました。 4年後の2019年ワールドカップは日本で開催されます。その時はベスト8ではなく是非優勝を掴んでほしいと願っています。

さあそれでは我々もスクラムを組んで消化管検査の道を一歩一歩進んで行きましょう。研究会のスタートです。

今回の参加者は 48 名です。



プログラム1 第1症例検討

田中副会長が司会、細見幹事が読影者に指名され、全フィルムでの読影が始まりました。

背臥位二重造影正面位において肥厚したひだが見られピロリ感染を疑う粘膜である。
右側臥位像で噴門下部から胃体上部にバリウムのハジキ像が見られ、隆起+陥凹性病変を疑う。
大きさは直径30mm以上。ひょうたん型の陥凹だが辺縁は角張っている。
バリウムの溜まりは深く陥凹底は平滑である。
周囲の隆起はなだらかな立ち上がりで、陥凹をほぼ全周にわたって取り囲んでいる。
振り分け像で写っている陥凹の接線像は、主病変とは別に前壁中央に深い陥凹が存在すると思う。
硬さについては、立位二重造影第1斜位で陰影欠損様所見があり3型進行癌と考える。
周りの隆起は粘膜下浸潤のよるものである。
前壁中央の病変は良性潰瘍を疑うが、情報量が少なく詳細は分からない。
少なくとも主病変と一連のものではない。

能瀬:周りの隆起がはっきりしないので陥凹のみの病変と考えるが、結果は同じく3型進行癌。

吉本:病変の大きさの割に強い硬さは感じられず、陥凹が隆起の辺縁近傍に達する所見と併せて悪性リンパ腫も鑑別に挙げるべき。

結果:内視鏡では良性潰瘍、1年後のX線写真では潰瘍瘢痕

詳しい結果は<限定ページ>をご覧下さい.


プログラム2 前回第2症例の説明

北野会員が担当しました。

スキルス胃癌について説明されています。
特に本症例に近いlinitis plastica型胃癌については細分化し、さらに詳しく説明が行われました。
撮影法の注意点も含め、非常に解りやすく書かれております。

1か月ご苦労様でした。



Coffee break(あれこれQ&A)

坂本幹事が担当しました。

胃体中部後壁大彎寄りに存在する病変をテーマに、写真を掲示して解説されました。
ひだ集中所見に気付くには、バリウムの流れに気をつけ、透視観察力の向上が必須であり、日常の業務の中で異常の発見に気を配るべきであると力説しました。

また胃体中部後壁の撮影では、ハーフターンで小彎側は頭低位、中央部は水平位、大彎側は立ててバリウムを流す必要があり、隆起性病変でも陥凹性病変でもバリウムのハジキに注意が必要であるとしました。



プログラム3 Lecture & Discussion
『M領域(胃体中部〜胃角部)の撮影法』
藤本幹事、白波瀬幹事が担当しました。

藤本幹事は撮影時の注意点を示し、続いてM領域の撮影法を前壁、後壁に分け詳しく説明しました。
また、立位圧迫と腹臥位圧迫についてもそれぞれの利点、欠点をあげ説明されました。

白波瀬幹事は、動画を用いてバリウムの流れや実際の病変の撮影手順について説明されました。
異常を描写するためには、透視下の観察が重要であると強調されました。

坂本幹事が担当した「あれこれQ&A」と併せて学ばれた方は、より一層M領域の撮影法の理解が深まったのではないでしょうか。

明日からの撮影にぜひ活かして頂きたいと思います。



プログラム4 第2症例検討
三浦幹事が司会を担当しました。
宮崎会員、坂本幹事が指名され読影が始まりました。

【基準撮影法で撮影された検診時のフィルムの読影】

宮崎:病変は3か所。
一カ所目は胃体下部後壁大彎寄りにひだ集中があり、口側に粗大顆粒状粘膜が広がっているがこれが病変かどうかはわからない。
二カ所目は胃体中央前壁中央に上下のひだが途切れた所見を認め、陥凹性病変を疑う。
三カ所目は穹窿部前壁に表面が滑らかな隆起性病変があり、良性ポリープと思う。
主病変は胃体下部後壁大彎寄りの病変。ひだ集中があるので潰瘍の既往があったと思う。
粘膜変化については隆起か陥凹かは良く分からない。

坂本:穹窿部前壁の隆起は、滑らかな半球状で粘膜下腫瘍と思う。
宮崎が指摘した胃体部前壁の変化もひだが切れているのでチェックはする。
胃体下部後壁はひだ集中があり病変は確実に有ると思う。
顆粒状の粘膜異常部は、ひだ集中を伴う病変と一連のものと思う。
又、大彎にも変化が見られる。

田中:粘膜異常が見られる部分の小彎線の変化が胃角あたりまで続いているおり、病変は広いと思う。
小彎線に変化があることより前壁側にも広がっているのではないか。

【検診時の追加撮影の読影】
宮崎:ひだ集中の先端を追うと、淡いバリウムの溜まりがあり小さな顆粒を伴っている。
口側の顆粒様変化は病変だと思う。おそらく前壁側にも及んでいるのではないか。
先に指摘した胃体部前壁のひだの途切れは潰瘍瘢痕だと思う。

坂本:追加撮影では顆粒状の異常粘膜面は病変とはとらえづらく、胃炎性変化か粘液の影響の可能性を否定出来ない。
ひだ集中する部分だけを病変ととらえる。陥凹のエッジとひだの段付きが見られる。

井上(啓):顆粒状粘膜面は病変である。田中が指摘したほど広くはないが表層拡大型のIIc型早期癌と思う。

能瀬:MALTリンパ腫ではないか。

【精密検査の読影】

宮崎:顆粒状の粘膜変化は、口側と肛門側ではっきりしている。
大彎側ははっきりしないが、ひだの変化で病変の範囲が追える。
陥凹内面の顆粒は、大彎側で大小の変化が強く小彎側に移行するにしたがって細かく揃ってきている。
変化は前壁まで広がっていると思う。未分化型のIIc型早期癌、深達度はMと読影する。

坂本:宮崎とほぼ同様であるが、病変は小彎にかかっているが前壁までは及んでいないと思う。

井上(啓):小彎線の変化がはっきりしており前壁には確実に入っている。
典型的なIIc型早期癌、大きさ80×80mm位、深達度はほとんどがMだがひだ集中する部分で一部SMに浸潤している可能性がある。

西戸:大彎側の範囲がはっきりしないので胃型の早期癌か。MALTリンパ腫も鑑別に挙げる。

結果:MU, Post-Less, Type 0-IIc, 80×78mm, sig, pT1a(M), UL-IIs(+), ly0, v0, pPM0(50mm), pDM0(120mm), pStage IA, R0

詳しい結果は<限定ページ>をご覧下さい.



(記:福本 弘幸)

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