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第352回9月度例会 活動風景  2014.9.5

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9月になり,食欲の秋が到来しました.
秋を代表とする魚といえばサンマではないでしょうか.
安くて美味しいと好まれるサンマは,ビタミンB群やDなどが豊富なほか,DHAやEPAといった血液をさらさらにする働きのある脂肪酸を豊富に含んでいます.

また“すだち”や“かぼす”を絞って食べることで,シネフリンの脂肪分解促進効果や代謝促進効果も得られるそうです.
今まで“すだち”や“かぼす”は彩のための飾りだと思っていたのですが,ちゃんと理由があったのですね. ついつい食べ過ぎてしまうこの季節,秋の味覚を満喫しつつ,体調管理には十分気を付けてください.

それでは研究会のスタートです。

今回の参加者は 53 名です。



プログラム1 第1症例検討

川岡幹事が司会,脇田会員が読影を担当しました.

脇田:胃体下部前壁小彎寄りにひだ集中を伴う20×20mmの陥凹性病変を認める.
陥凹は一様に浅く不整形,陥凹内面には大小不同の顆粒像を認める.
集中するひだ先端は陥凹辺縁で中断している.
空気量により陥凹の様相が変化してみえることから病変は柔らかいと考え,未分化型のIIc型早期癌,深達度M(潰瘍瘢痕の一部にSM浸潤の疑いあり)と読影した.

西戸:脇田とほぼ同意見だが,顆粒様の変化がさらに大彎側にも広がっているとし,脇田より口側と大彎側にやや広く病変の範囲をとった.

田中幸:集中するひだの辺縁にギザギザした所見を認めるので,肛門側と口側にさらに広く病変の範囲をとった.
陥凹の中にひだが入っている事と,陥凹の辺縁が不明瞭な事から分化型のIIc型早期癌,深達度Mと読影した.

結果:M, Ant-Less, Type 0-IIc+III, tub2, pT1b1(SM1)

詳しい結果は<限定ページ>をご覧下さい.


プログラム2 製品情報提供

株式会社伏見製薬所昭和町工場 品質管理課 水川伸彦氏から,『硫酸バリウム散99.5%「FSK」について』という内容で情報提供がありました.

従来の同社バリウム製剤とは粒度分布が異なり,粗粒子の割合が増えているとの事です.
また,使用添加剤の種類を減らし,アレルギーのリスクを低減していると説明がありました.
どんな画像になるのか興味があります.



Coffee break(あれこれQ&A)

「病変の内面について」というテーマで坂本幹事が担当しました.
陥凹内の顆粒像について説明があり,顆粒がない場合は良性潰瘍か進行癌,顆粒がある場合は悪性病変である事が多く,顆粒の形や大きさである程度深達度も推測できると説明がありました.

会場からは良性潰瘍の時に見られる顆粒像との鑑別について質問があり,陥凹の外に発生する随伴胃炎に伴う顆粒や,再生上皮による比較的密集した小さな円形の顆粒は良性潰瘍でも見られるとの回答がありました.



プログラム3 Lecture & Discussion
「U領域(穹窿部〜胃体上部)の撮影法」として,桑原幹事と山本泉幹事からレクチャーがありました.
まず桑原幹事から後壁側を中心とした撮影法の説明があり,続いてU領域の症例を提示しながら撮影体位や空気量について解説されました.

次に,山本泉幹事からは前壁・小彎・大彎を中心とした撮影法の説明があり,撮影手技自体は比較的簡単であるが,その分できる工夫も限られており,確実にバリウムを流し観察をすることが重要であると説明がありました.
また,前壁だけや後壁だけに付着させた胃上部の写真が提示され,バリウム付着の違いを改めて認識することができました.
決められた手順通りに撮影することの大切さを理解することができました.



プログラム4 第2症例検討
丹羽書記が司会,米谷幹事と能瀬会員が読影を担当しました.

充盈像のチェック

能瀬:穹窿部後壁大彎寄りにポリープ様の隆起性病変を認め1番でチェック.
同じく穹窿部の後壁のひだ集中様所見を4番でチェック,胃体上部〜胃体中部後壁のバリウム付着ムラを3番でチェック.

米谷:穹窿部後壁大彎寄りのポリープ様隆起性病変を1番でチェック.

小川:胃体上部大彎の直線化を4番でチェック.

全フィルムのチェック

能瀬:噴門下部から胃体上部にかけて20×20mmの隆起+陥凹性病変を認める.
ひだ集中はなく,陥凹辺縁にはひげ状の飛び出しがある.
陥凹は二段階の深さを呈し,内面は平滑で明らかな顆粒像はない.
深い陥凹は潰瘍で,陥凹全体がなだらかに持ち上がっているのは浮腫による影響と考える.
全体的には柔らかい印象を受けるが,側面像でやや硬化所見を認めるため,浅い陥凹と潰瘍の境界近辺にて一部癌の粘膜下浸潤を疑う.
未分化型のIIc+III型早期癌,深達度SMと考える.

米谷:噴門下部から胃体上部にかけて,35×20mmの隆起+陥凹性病変を認める.
陥凹の形はヒイラギ状,陥凹は深く内面は平滑で顆粒像は認めない.
ひだ集中を伴い,口側先端でやや太まっている.
陥凹周囲にはなだらかな立ち上がりの隆起を認める.
立位充盈像で明らかな異常は見られないが,空気量を変化させても陥凹の形は変わらないので硬い病変と考える.
未分化型の3型進行癌,深達度MP.

小川:隆起周辺の粘膜模様と正常部位の粘膜模様が違うので,隆起周囲にも粘膜下に癌が広がっていると考える.
口側の境界は分かりづらいが,バリウムのはじき方とひだの腫大より広範に浸潤している可能性がある.
3型進行癌のスキルスタイプと考える.

井上啓:不整形な陥凹は,潰瘍ではなく癌の所見と考える.
隆起周囲にあるひだが肥厚しており,広範囲に粘膜下への癌浸潤を疑う.

田中幸:米谷とほぼ同じ意見で,スキルスにしては立位充盈像で硬さが見られない.
髄様型の浸潤形式をとる癌を考える.

西戸:小川,井上啓と同意見.ひだの肥厚とひだ間の狭小化はスキルスの所見と考える.

宮崎:浅い陥凹性病変だが,びまん型の浸潤病変と考える.スキルス型胃癌を疑う.

結果:U,Gre-Post,Type3,por2>sig,pT2(MP),cM0,cP0,cH0,cStage1B,INFc,sci,ly1,v1,pPM0,pDM0



(記:細見 聡)

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