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第350回7月度例会 活動風景  2014.7.4

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暑中お見舞い申し上げます.
7月のニュースといえば,なでしこJAPANのワールドカップ準優勝ではないでしょうか.
残念ながら決勝戦で負けてしまったものの,世界2位ですから素晴らしい結果だと思います.
仕事中に健診会場で流れている映像をチラチラ盗み見しながら応援をしていたので,周りのスタッフに「仕事に集中してください」と怒られてしまいました.

ただ,受診者の方も同様で,試合に集中するあまりお名前をお呼びしても返答が無かったり,「こちらでお待ちください」とお声をかけても遠くのテレビの前に移動してしまい,検査の流れが悪くなり待ち時間も通常より長くなってしまいました.
それでもこんな時は不思議とクレームは出ないんですよね.

さて,ワールドカップも終わった事ですし,勉強に集中しましょうか.研究会のスタートです.

今回の参加者は 61 名です。



プログラム1 第1症例検討

細見幹事が司会,園田会員が読影を担当しました.

発見2年前フィルムのチェック

園田:胃体下部前壁やや大彎寄りに境界不明瞭な2段階の深さを持つ陥凹があり,陥凹底には大小の隆起を2つ認めるとした.
陥凹に向かって集中するひだ先端に中断はあるが,太まりや融合等の所見は認めず,陥凹周囲にも隆起は見られない.
分化型のIIc型早期癌,深達度SMと読影した.

田中:陥凹内の隆起は島状粘膜残存と考え,未分化型のIIc型早期癌,深達度Mと読影した.

発見年のフィルムのチェック

園田:2年前と同じ部位にひだ集中を伴う30×30mmの隆起+陥凹性病変を認める.
陥凹は深く不整形,陥凹底は無構造である.
集中するひだ先端は太まっており,大彎側から口側にかけて融合所見を認める.
肛門側の一部を除き陥凹を取り囲むように隆起しており,その立ち上がりはなだらかで表面には癌を示唆する粘膜不整は見られない.
病変の完全な側面像がなく陰影欠損などは指摘できないが,圧迫像にて陥凹の形に明らかな変化が無く,周囲の結節様のヌケ像にも恒常性が見られるので病変は硬いと考え3型進行癌,深達度MPと読影した.

田中:園田とほぼ同様の意見であるが,陥凹周囲の隆起が全周性でないこと,硬い印象は受けるものの病変の側面に近い像で壁変化が弱いことから未分化型のIIa+IIc型早期癌,深達度SM massiveと読影した.

結果:Type2,cT2(MP) poorly differentiated adenocarcinoma(内視鏡時生検結果)

詳しい結果は<限定ページ>をご覧下さい.


プログラム2 前回第2症例の説明

園田会員が担当しました.
病変の範囲が分かり難い症例でしたが,スキルスとH.pylori感染の特徴を考察されています.
10数年ぶりのレポート担当,お疲れ様でした.




Coffee break(あれこれQ&A)

「病変の周辺について」というテーマで川岡幹事が担当しました.

ひだ集中の出現パターン,ひだ先端の性状,陥凹周辺隆起について説明があり,ひだ先端の性状により,良悪性の鑑別や浸潤程度の判断が可能だと説明がありました.
ひだ先端の性状を詳しく読影するにはある程度の空気量が必要ですが,空気量が多すぎると所見が描出し難くので,空気量の調節が重要との事でした.



プログラム3 レクチャー&ディスカッション

検定試験対策3(被曝と統計)として,三浦幹事から「統計」に関する,山本(兼)監査から「被曝」に関するレクチャーがありました.

まず三浦幹事から,聞きなれない統計用語について具体的な統計データを用いて最新の情報とともに説明されました.
また,山本(兼)監査からは放射線の影響,放射線防護について,一般的な検査の被曝線量値について,線量の測定方法について,過去の文献と現在の文献を対比し,被曝線量についてどう考えるべきか説明がありました.

両先生ともに,試験対策としてどこが重要かポイントを絞って解説されていたので,非常に分かりやすかったのではないかと思います.


詳しくは<限定ページ>をご覧下さい.


プログラム4 第2症例検討

白波瀬財務が司会,小豆会員と山田会員が読影を担当しました.

小豆:胃体上部〜胃体下部後壁に,ひだ集中を伴う50×40mmの陥凹+隆起性病変を認める.
陥凹辺縁は口側と大彎側の一部に棘状の変化を認め,陥凹底には深い部分と浅い部分があり,深い部分は無構造で浅い部分には顆粒像を認める.
陥凹周辺にはなだらかな立ち上がりを持つ隆起を認め,陥凹全体を粘膜下から持ち上げているような形態を示す.
集中するひだ先端の一部は細まっており,その表面には周辺の模様像と異なる像を認める.
空気量を変化させても病変の形が変わらず硬いと考え,IIc+III型の癌で深達度MP以深と読影した.

山田:病変の大きさは小豆より若干小さく40×30mmの隆起+陥凹性病変.
陥凹には浅い部分とやや深い部分,更に深い部分と3層構造を呈しており,陥凹辺縁は断崖状ではなく棘状変化を認め一部不明瞭な部分がある.
空気量を変化させても陥凹の形が変わらず硬さを感じるが,ひだ先端に融合などの深部浸潤所見は認めない.
分化型のIIc+III型早期胃癌,深達度SMと読影した.

井上(啓):陥凹の形は不整ではあるが辺縁に悪性所見を認めず,陥凹周囲の粘膜下の盛り上がりを非上皮性の変化ととらえMLと読影.

小川:大きさは小豆と同じだが,陥凹周囲に上皮性変化を認めIIc+III+IIb型早期癌,深達度SMと読影.

井上(清):病変は,バリウムのたまり難い場所にある為一見浅く見えが実は全体的に深く,陥凹内の顆粒は島状粘膜残存ではない結節である.
側面像で直線化になっているところがあるのでIII+IIc型の進行癌と読影.

能瀬:空気少量の腹臥位圧迫で進行癌を疑う抜け像はない.
陥凹周辺の隆起は,潰瘍を何度か繰り返したことによる線維化細胞の影響と考えIIc+III型早期癌,深達度Mと読影.

結果:M, Post, Type3, 40mm, por2>sig, tub2, pT2(MP), sci, INFc, ly1, v0, pPM0, pDM0, R0

詳しい結果は<限定ページ>をご覧下さい.
または、次月の症例レポートをご覧ください。



(記:細見 聡)

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