[4月例会]
を表示

第348回5月度例会 活動風景  2014.5.9

[6月例会]
を表示


日中は、少し汗ばむほどの季節となりましたが、皆様いかがお過ごしですか。

5月になり、京都では納涼床が始まりました。
河原に張りだした床の上で、お料理やお酒を楽しむ人気の催しで、江戸時代から続いているといわれています。
エアコンの効かない屋外に床があるので、真夏よりも今ぐらいの方がすごし易かったりします。
近頃は懐石料理だけでなく、居酒屋やイタリアンなどのリーズナブルなお店も床を出しているので、例会後の打ち上げに利用するというのはいかがでしょう。

それでは研究会のスタートです。

今回の参加者は 46 名です。



プログラム1 第1症例検討

桑原幹事が司会、渕上会員が読影を担当しました。

充盈像のチェック

渕上:胃外性病変はなし。胃体下部から胃角部にかけての大彎に、なだらかな圧排所見を認めるが、腸管等の影響と考え5番でチェック。

全フィルムのチェック

渕上:胃体下部から胃角部の大彎を中心とした前後壁に、60×60mmの陥凹性病変を認める。
一部にギザギザとした辺縁を持つ浅い陥凹があり、陥凹内面には粗大顆粒を多数認めるので早期癌を思わせるが、圧迫像での陥凹内の抜け像や立位充盈像での陰影欠損より硬さがあるとしてIIc型の進行癌とする。

細見:陥凹が一様に浅く、陥凹底に顆粒も見られるので、一見すると進行癌には見えない。
ただ、前壁口側のひだをみると、陥凹周辺で急峻な折れ曲がりがあり、圧迫像でも抜け像が見られる。
全体的には深達度の浅い病変であるが、前壁口側のみ深部まで及んでいると考え、IIc型の癌で深達度MP、未分化型とする。

田中:病変は前壁側に主座があり、前壁側より小彎近傍まで広がっている。
立位充盈像で陰影欠損を認め、二重造影像でも胃体部から胃角部にかけて伸展不良があるので病変は硬いと考える。
病変口側の範囲は、ひだの太まりがある噴門下部まで広がっている。
粘膜下に病変の広がりを示唆する所見を認めるので、3型進行癌と考える。

結果:MU, Gre, Type 3, 55×52mm, por2>sig, pT4a(SE), sci, ly2, v1, pN3b, pPM0, pDM0, pP0, pCY0, pH0, pM0, pR0, StageIIIc
詳しい結果は<限定ページ>をご覧下さい.



プログラム2 前回第2症例の説明

佐久間幹事が担当しました。

SM浸潤の特徴について詳しくまとめられています。
また、組織型や撮影法についても述べられており、多くの文献を読まれたであろう苦労の後が見て取れます。

2回目のレポート担当、お疲れ様でした。




Coffee break(あれこれQ&A)

「基準撮影法における良い写真、悪い写真(出力編)」というテーマで、細見幹事が担当しました。

画像評価の3基本因子、撮影条件、プリンタの設定について説明がありました。
画像を良くするには、コントラスト、鮮鋭度、粒状性を向上させる必要があり、次の3点がポイントになります。

1. 白トビ、黒つぶれをなくすにはコントラストカーブの角度を調整する
2. 鮮鋭度を上げるにはエッジ強調を強くする
3. エッジ強調を強くすると粒状性が悪くなるためバランスを取る

プリンタの設定は、DICOM 14の規格で接続すれば、ほぼ撮影機器側と同じ画像が出力可能であるとのことでした。
画像条件設定の一助になれば幸いです。



プログラム3 レクチャー&ディスカッション

今年度より企画された胃がん検診専門技師試験対策の第一弾として、吉本会長による「基準撮影法と追加撮影」の講義がありました。

基準撮影法の定義、基準撮影法1と基準撮影法2の違い、それぞれの描出範囲、胃の区域分けの解説、任意撮影法及び任意撮影体位の定義、追加撮影法の定義、日本消化器がん検診学会ガイドラインによる新・胃X線撮影法の基準との相違点、講師の推奨する任意撮影体位及び追加撮影法について詳しく解説されました。

認定試験を受験される方はもちろん、受けられない方にとっても、役に立つ講義だったのではないでしょうか。


詳しくは<限定ページ>をご覧下さい.


プログラム4 第2症例検討

田中副会長が司会、井上清輝相談役と佐藤会員が読影を担当しました。

充盈像のチェック

井上清:立位充盈像では胃体部の伸展が悪いが、瀑状胃の影響と考えチェックはしない。
胃外性病変はなく、前庭部から幽門前部小彎に壁の伸展不良を認め3番でチェック。
腹臥位充盈像でも同部位を3番でチェックし、胃角近傍の小彎に直線化を認めるので4番でチェック。

佐藤:立位充盈像で、前庭部の小彎と大彎が非対称となっており、小彎に変形が見られるので3番でチェック。
胃体中部から下部にかけて管腔の狭小化を3番でチェック。
腹臥位充盈像でも、立位と同じく前庭部小彎を3番でチェック。
井上清と同様に胃角近傍の直線化を3番でチェックするが、部位は胃体上部に相当すると思う。
また胃体部の管腔の狭小化を立位と同様に3番でチェック。

西戸:幽門輪から50〜60mmが胃角の位置と考えると、井上清が指摘した部位は胃体部に相当すると考える。
また立位充盈像おいて、穹窿部にひだの走行異常を認めるので2番でチェックする。

全フィルムのチェック

佐藤:胃体下部〜胃角部後壁に、ひだ集中を伴う20×25mmの境界不明瞭な陥凹性病変を認める。
ひだは一点集中しており、先端には先細りの所見を認めることからIIc型早期癌で、背景粘膜が委縮していること、陥凹中心までひだが到達していること、陥凹が浅く、陥凹底に凹凸の変化が少ないことから分化型とする。
空気量の変化により、陥凹の形も変化するので深達度はMと読影する。

井上清:胃体下部後壁小彎よりに、ひだ集中を伴うヒイラギ状の陥凹性病変を認める。
ひだは陥凹の中心部にまで及んでおり、先端に明らかな悪性所見は見られないが、陥凹底に若干の凹凸の変化を認め、辺縁に棘状の変化があることから分化型のIIc型早期癌と読影する。
空気量を変化させると病変が伸展しているので深達度は概ねMと考えるが、ひだ集中の中心部で伸展が悪くなっているので一部、SM1に浸潤していると読影する。

西戸:病変の口側境界に一致して粘膜下からの盛り上がりがあると考える。
佐藤の指摘した範囲が粘膜面に表れているのは陥凹部分で、井上清の範囲まで粘膜下に病変が広がっていると考える。
IIc型早期癌で分化型、深達度はSM2と読影をする。

能瀬:IIc型早期癌の分化型、深達度は全体的にはMで、陥凹中心のみSM1と考える。
病変の質的読影は井上清とほぼ同じであるが、肛門側境界の更に外側に蚕食像を指摘できるので、肛門側の範囲を若干広く取る。

結果:M, Post, Type 0-IIc, tub1>>por, pT1b1, INFa, ly1, v0, pN0, pPM0(17mm), pDM0

詳しい結果は<限定ページ>をご覧下さい.
または、次月の症例レポートをご覧ください。



(記:細見 聡)

[4月例会]
を表示

第348回5月度例会 活動風景  2014.5.9

[6月例会]
を表示

▲ RETURN TO TOP PAGE  ▼