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第342回11月度例会 活動風景  2014.11.1

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11月の例会翌日に第16回研修会(撮影実地見学会)を開催いたしました.
7名の診療放射線技師が交代で12件の撮影を行ったのですが,細かなテクニックや工夫が随所に見られ,手前味噌で恐縮ですが非常に情報量の多い研修会になったと思います.

特に切除胃の撮影は受講者全員が見学を希望され,操作室前は黒山の人だかりとなりました.
皆さん切除胃の撮影に悩んでいたのだと改めて実感致しました.

残念だったのは,時間とスペースの関係で全員の撮影風景を見学できなかった事です.
次回の開催は未定ですが,そのあたりを改善したいと思います.
開催された暁にはぜひご参加ください.

研究会のスタートです。

今回の参加者は 58 名です。



プログラム1 第1症例検討

山本泉幹事が司会,三浦幹事が読影を担当しました.

全フィルム閲覧

三浦:胃角部前壁小彎よりに25×25mmのひだ集中を伴う不整形な陥凹性病変をみとめる.
強弱をつけた圧迫像で陥凹の形が変わらないことから陥凹は深いと考える.
陥凹内面には1〜2個の顆粒状陰影を認め,陥凹周囲に小結節様の隆起をほぼ全周に認める.
空気多量の写真では陥凹周囲の隆起は目立たなくなるので,病変全体は粘膜下腫瘍様に隆起しており,更に1カ所大きな抜け像を認めることからIIc型胃癌,深達度MP,未分化型と読影した.

田中幸一:陥凹が2段階の深さを呈している.深い陥凹は治癒期の潰瘍と考える.陥凹周囲の隆起は,線維化と浮腫によるものと考えIIc型早期癌,深達度SM,未分化型とした.

結果は,胃角部前壁に存在する深達度SM2のIIc型早期癌(未分化型)と,胃角部後壁に存在する深達度MのIIa型早期癌の重複癌であった.
読影者は皆,2つの所見を一連の病変によるものとして読影しており,胃X線写真読影の奥深さを痛感した.

M, Ant, Type0-IIc,25×25mm, sig>tub2>por2, pT1b2(SM), int, INFb, ly0, v0, pPM0, pDM0
M, Post, Type0-IIa, 11×11mm, tub1, pT1a(M), ly0, v0, pPM0, pDM0



詳しい結果,X線写真,マクロ等は<限定ページ>をご覧下さい.


プログラム2 前回第2症例の説明

細川会員が担当しました.
症例検討時には不十分であったX線像とマクロ像の対比を緻密に行われています.
1ヶ月間お疲れ様でした.



Coffee break(あれこれQ&A)

桑原幹事から「ゲップが出やすい方の撮影」について説明がありました.

ゲップの出やすい疾患として逆流性食道炎,食道裂孔ヘルニア,胃下垂,慢性胃炎,胃・大腸がん,胃十二指腸潰瘍による幽門狭窄などが挙げられる.
これらの疾患により,胃の機能が低下するとゲップが出やすくなる.
ゲップが出やすい方を撮影する際は,撮影前に胃の膨らんだ写真としぼんだ写真を見せ,ゲップを我慢することの重要性を視覚的に訴える.

次に口中での発泡ロスを少なくするため舌の奥に発泡剤を入れ,少量の水またはバリウムで服用する.
その後ガーゼ等を口に当てて押えてもらうが,この時に検査前にみせた胃の写真を思い出してもらい,ゲップを我慢する重要性を再認識してもらう.
検査はできるだけ短時間で行い,受診者負担を極力減らす事が重要であると説明がありました.

坂本幹事からは,食道に空気がある時は非常にゲップが出やすいので安易につばを飲み込ませるのではなく,ため息をつくように息を吐くと食道が締まりゲップが出にくくなると説明がありました.
受診者により胃の形はもちろん動きや言葉の理解度も違うので,表現方法のバリエーションを豊富にすることが重要だとまとめられました.



プログラム3 レクチャー&ディスカッション

藤本幹事による『バリウム検査における誤嚥予防について』という内容でレクチャーがありました.

誤嚥の起こるメカニズムに始まり,誤嚥を起こした際の対応策(ハッフィングやタッピング)の説明があり,誤嚥を予防するための対策として,口径の大きなコップを使用し,顎を上げずに飲用する事が重要だと締めくくられました.

詳しくは<限定ページ>をご覧下さい.



プログラム4 第2症例検討
三浦幹事が司会,井上香幹事と佐久間会員が読影を担当しました.

健診時フィルムのチェック

佐久間:胃体下部小彎にひだ集中を伴う陥凹性病変を認める.
陥凹はヒイラギ状で二段階の深さがあり,内面には2〜3個の顆粒状陰影を認める.
集中するひだ先端にギザついたような所見を認める.
圧迫で陥凹の深い部分に常にバリウムが残るので硬さが少しあると考え,IIc型早期癌,深達度SMと読影.

井上香:佐久間とほぼ同じであるが,佐久間が指摘した陥凹の大彎側に淡いバリウム斑の広がりを認め,病変はもう少し広いと考える.
周辺に隆起はなく,ひだ集中もない.圧迫で陥凹の形が変わるのでやわらかい病変と考え,IIc+III型早期癌,深達度Mと読影.

能瀬:病変の全体像が追いにくいので確かなことは言えないが,2人の読影者の意見より病変は広いと考える.

佐藤:背臥位二重造影第1斜位像で胃体下部小彎近傍の輪郭がギザギザしているので,井上香の範囲より小彎側をやや広めに取る.

西戸:病変の範囲は佐久間と同じで,一部深いと言われている陥凹は浅いと考える.
圧迫像で強弱変化させた像でも軟らかさ感じるのでIIc型早期癌,深達度Mと読影する.

小川:小彎は佐藤と同じ範囲,口側はバリウムのはじいているところを範囲と考えて広くとりIIc型早期癌,深達度Mと読影.

精密時フィルムのチェック

佐久間:健診時の写真より病変の範囲が小彎側に広がっているように見える.

西戸:病変の小彎側の境界は佐藤と同じ.小彎には浸潤していない.

小川:健診時よりもさらに広い範囲を病変と考える.

結果は70×35mmの前後壁にまたがる広範囲の未分化型癌であった.
粘膜上皮には部分的にしか癌が露出しておらず,病変範囲の読影に苦慮した症例であった.

結果:M, Less, Type0-IIc, 70×35mm, pT1a(M), sig, ly0, v0, pN0(0/32), pPM0, pDM0

詳しい結果,X線写真,マクロ等は<限定ページ>をご覧下さい.



(記:細見 聡)

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