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第340回9月度例会 活動風景  2014.9.6

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異常気象の為、今年の夏は暗いニュースが多かったように思いますが、9月に入ってからは一転し、テニスの全米オープンで錦織選手が見事準優勝し、テレビは錦織一色になりました。
他のスポーツでも、サッカー日本代表はアギーレジャパンがAFCアジアカップ2015に向けて始動し、新しい日本代表に期待が集まっていますし、プロ野球ではペナントレースが終盤に差し掛かり、ますます盛り上がりを見せています。
見るだけのスポーツの秋もなかなか楽しいものですね。

一方研究会は、見るだけでも勉強できるように趣向を凝らしていますが、できれば一言発言をしてより多くのものを持ち帰って頂きたいと思います。
勉強の秋にぜひ当研究会をご活用ください。

研究会スタートです。

今回の参加者は 66 名です。



プログラム1 第1症例検討

白波瀬幹事が司会、森下幹事が読影を担当しました。

充盈像閲覧

森下:立位充盈像で、胃角から前庭部小彎の陰影欠損様部分を3番でチェック、胃体下部から胃角部大彎の弯入所見は、前庭部小彎の病変による影響と考え3´でチェック、胃体上部大彎のバリウム斑を3番でチェック。

田中幸一:噴門下部後壁に隆起の輪郭が出ていると考え、隆起性病変を疑い1番でチェック。
全フィルム閲覧

森下:噴門下部後壁小彎よりに25×20mmの楕円形の隆起性病変をみとめる。
山田II型の立ち上がりで辺縁は分葉状、隆起は高く、表面に明らかな陥凹は認めない。
完全な側面像ではないが辺縁に変形も認めないのでI型早期癌、分化型とする。

西戸:全周山田III型の立ち上がりで表面性状は不整である。
病変が辺縁にかかる像で変形はなくI型早期癌、分化型、深達度Mとする。

田中:芋虫状の形態を呈し、隆起表面に小結節様の模様がみられる。
表面、辺縁不整が強いことからI型早期癌、深達度SMと考える。

高井:隆起表面に結節を認める。
壁変形はないが、穹窿部が背側に折れ曲がっているところで変形が目立たなくなっているだけで硬さはあると考え、1型進行癌とする。

結果は、U領域後壁に存在する深達度MのI型早期癌と、M 領域小彎に存在する深達度MのIIa型早期癌の重複癌であった。

結果:
・U,Post,Type0-I,40 × 25mm,tub1,pT1a(M),pN0,M0,P0,CY0,H0,stageIA
・M,Less,Type0-IIa,10×5mm, tub1,pT1a(M),pN0,M0,P0,CY0,H0,stageIA



詳しい結果,X線写真,マクロ等は<限定ページ>をご覧下さい.


Coffee break(あれこれQ&A)

三浦幹事から「胃の検査時間を短縮する為に必要なこと」について説明がありました。

  1. 検査前の事前準備
  2. 撮影技師と受診者様の信頼の構築
  3. 過去の受診歴、内視鏡検査施行の有無、背景粘膜、胃の形やバランスの良し悪しで撮影方法を考慮する
  4. 高齢者、耳の聞こえにくい方など意思疎通が困難な方への対応
受診者により胃の形はもちろん、動きや言葉の理解度も違うので、表現方法のバリエーションを豊富にすることが重要だとまとめられました。



プログラム2 レクチャー&ディスカッション

川岡幹事、桑原幹事、山本泉幹事による『前壁撮影法と圧迫枕』についてレクチャーがありました。

川岡:受診者への十分な説明、安全性の配慮、圧迫枕のバリウム堰き止め効果、胃形の矯正効果について説明があり、主に胃形矯正の重要性について説明がありました。

桑原:新胃X線撮影法ガイドラインに則り、体位変換から圧迫枕の挿入方法、角度調整のコツといった点について説明がありました。また、症例を交えながら圧迫枕を使用することの難しさと重要性について説明され、あきらめずに病変を探す努力が必要だとまとめられました。

山本泉:施設で使用されている遠隔操作の圧迫枕を紹介され、撮影中に自由に圧迫枕の高さが調整できることの有用性について説明がありました。また、腹臥位二重造影第1斜位像を撮影することで、十二指腸に流出したバリウムによるブラインドを回避できると説明がありました。

三者三様の工夫があり、改めて前壁撮影法の奥深さを実感いたしました。



プログラム3 第2症例検討
西戸副会長が司会、坂本幹事と入江会員が読影を担当しました。

充盈像のチェック

入江:胃角の変形を3番でチェック。
立位で二重造影部分にあたる胃体上部小彎よりのバリウム斑を4番でチェック。

坂本:胃体上部小彎よりの粘膜不整を1番でチェック。
腹臥位で胃体下部前壁小彎よりにひだ集中を疑い1番でチェック。
これと一連の病変かどうかはわからないが、胃角のniche様所見を3番でチェック。

井上啓:立位で胃角の変形を3番でチェック。
胃体上部小彎よりの粘膜不整を3番でチェック。
腹臥位で胃体下部前壁小彎よりのひだ集中を1番でチェック、坂本同様一連の病変かどうかはわからないが胃角のniche様所見を1番でチェック。

全フィルムの読影

入江:病変は2 つ存在するとし、胃角部前壁小彎よりに隆起+陥凹性病変を認め、大きさは30×25mm、小彎は跨いでいないとした。
陥凹辺縁は棘状で集中するひだの先端に融合所見を認めることから3 型進行癌、未分化型、深達度MP。
2 つ目の病変は、前庭部後壁小彎よりに隆起+陥凹性病変が存在し、大きさは20×15mm。
陥凹辺縁は棘状で周囲に顆粒状の隆起を伴うとしてIIa+IIc型早期癌、分化型、深達度Mとした。

坂本:病変は2つ存在し、胃角部の病変の範囲について、胃体部小彎の伸展が悪いことや胃体上部後壁中央に粘膜の乱れがあることから粘膜下に広範囲に及んでいるのではないかとし3型進行癌、未分化型、深達度MPと読影した。
2 つ目の病変は、前庭部後壁小彎よりに陥凹性病変が存在し、大きさは10×7mm、IIc型早期癌、分化型、大きさと陥凹の深さから深達度Mとした。

井上啓:病変は3つ存在し、胃体上部後壁に粘膜不整があり隆起+陥凹性病変を疑う。
悪性の根拠が少なく良性病変も完全には否定できないがIIa+IIc型早期癌、分化型、深達度M。
2 つ目の病変は、胃角部前壁小彎よりに隆起+陥凹性病変を認め、ひだ先端は融合ではなく接合としてIIc型早期癌、未分化型、深達度SM。
3 つ目の病変は、前庭部後壁小彎よりに陥凹性病変が存在し、大きさは8×4mm、IIc型早期癌、分化型、深達度Mとした。

結果は症例検討で指摘された3病変に加え、幽門前部前壁に数mm大のIIc型早期癌が存在する珍しい4重胃癌の症例であった。

結果:
1(胃体上部)Type0-IIc,12×7mm, tub2>tub1,pT1b2(SM2),int,INFb,ly0,v2,PM(-),DM(-)
2(胃角部)Type0-IIc, 67×48mm,por2>sig,pT2(MP),sci,INFc,ly0,v0,PM(-),DM(-)
3(前庭部)Type0-IIc,14mm, tub1,pT1a(M),ly0,v0,PM(-),DM(-)
4(幽門前部)Type0-IIc, 2mm,tub1,pT1a(M),ly0,v0,PM(-),DM(-)



(記:細見 聡)

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