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第334回3月度例会 活動風景  2014.3.1

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朝夕はまだ冷え込みますが,日差しは春めいてまいりました.
春の訪れは嬉しいのですが,花粉や黄砂,PM2・5の影響が懸念される季節でもあります.
特にPM2・5は,喘息や気管支炎などの呼吸器系疾患の原因になるとされており,肺がんのリスクの上昇や循環器系への影響も囁かれています.

PM2・5の対策としては,1:屋外での激しい運動を避ける 2:窓の開閉を最小限にする 3:高性能な防じんマスク(N95やDS1以上の規格のもの)の使用等が推奨されています.
敏感になりすぎるのもどうかと思いますが,このような情報を知ると外出するのが怖くなりますね.
PM2・5の濃度が上昇しないよう祈りつつ,研究会のスタートです.

今回の参加者は 55 名です.



プログラム1 第1症例検討

坂本幹事が司会,田中陽会員が読影を担当しました.

胃体中部前壁小彎寄り15×15mmの浅い陥凹性病変を認める.
陥凹底は平滑で,辺縁に不整な所見は見られない.襞集中はなく,陥凹周辺にはびらんが多発している.
圧迫像で硬さが感じられない事から良性潰瘍と読影した.

会場より森下は,陥凹の小彎側辺縁にひげ状の飛び出しと轡並びを指摘しIIc型早期癌,深達度SM,分化型と読影した.

三宅は,陥凹の境界に悪性所見が指摘できない事,ひだ集中が陥凹中心ではなく辺縁部分に生じている事,さらに陥凹の内側に向かってバリウムのにじみが生じるのは良性潰瘍の特徴所見であるとし,再燃・再発を繰り返す良性潰瘍と読影した.

結果:良性潰瘍


詳しい結果,X線写真,マクロ等は<限定ページ>をご覧下さい.


プログラム2 アンケート結果報告


吉本会長が担当しました.

昨年の8月〜今年の2月までのアンケート結果について説明がありました.
症例をひとつずつ振り返り,参加者が難易度をどのように感じられたかを解説しました.
病変の存在が指摘しやすい症例は,比較的簡単だと回答されているように感じました.
その他,今後取り上げてほしい内容や改善点につきましても多くの意見を頂戴いたしました.
皆様からの貴重な意見を参考に,今後の研究会運営に役立てていく所存です.
ご協力ありがとうございました.




Coffee break(あれこれQ&A)

坂本幹事から残胃の撮影法(抗コリン剤なし)について説明がありました.

1,空気量に注意する
残胃の大きさと空気量を合わせる事が重要で,胃が1/3切除されているなら,発泡剤は2/3本程度,胃が2/3切除されているなら発泡剤は1/3本程度に調整する.

2,空気量の変化を利用する
ゲップされた際はすぐに発泡剤を追加するのではなく,空気量が少ない状態でも撮影可能な部位(吻合部,口側後壁)の撮影に切り替える.

3,前壁の撮影は最後に行う.
半立位での腹臥位第二斜位は最も空気が流出しやすい体位なので,最後に撮影を行う.



プログラム3 レクチャー&ディスカッション
『胃X線検査における受診者の被ばく線量』


山本兼監査による「胃X線検査における受診者の被ばく線量」というレクチャーでした.

世界各地の自然放射線量の話に始まり,人体への影響,放射線量の単位,線量測定の方法,実際に測定した胃X線検査における被ばく線量など多岐にわたるお話でした.

胃X線検査における被ばく線量のほとんどは透視被ばくであると聞き,効率よく透視観察をすることの重要性を再確認しました.



プログラム4 第2症例検討


井上香幹事が司会,米谷幹事と三宅会員が読影を担当しました.

充盈像のチェック

米谷:幽門前部の狭小化を1番でチェック.胃体上部大彎の膨らみが弱い部分を2番でチェック.
三宅:幽門前部の狭小化を1番でチェック.胃体上部大彎の辺縁が波打っている部分を3番でチェック.

全フィルムの読影

米谷:幽門前部前壁を主に小彎〜大彎に及ぶ35×25mmの陥凹性病変を認める.
不整形な陥凹であり,内面は顆粒もなく平滑である.
陥凹周囲に襞集中はなく,小さな顆粒状の隆起が存在する.
空気量の異なる写真で病変の大きさを比較すると,伸展が保たれているように感じるので柔らかい病変である.
IIc型早期癌,深達度SM,分化型とする.

三宅:幽門前部ほぼ全周に30×50mmの隆起+陥凹性病変を認める.
陥凹内面には凹凸があり,小彎側,大彎側ともに陰影欠損を認める.
形が変わって柔らかそうな印象を与える写真もあるが,陰影欠損があることを理由に硬い病変であると考える.
3型進行癌,分化型主体の癌と考える.

田中:病変は全周に広がっているのではなく,後壁に一部intact(正常部分)がある.
陥凹周辺の顆粒は結節というほど大きくなく,粒が揃っていることより早期癌の様相を呈している.
しかし小彎側,大彎側の壁変形は強いのでIIa+IIc型早期癌,深達度SM2を疑う.

西戸:幽門前部の変形が強く進行癌を疑う.
部分的に柔らかいと感じるところがあるが,線維化の生じにくい組織型によるものと考える.
上皮性の病変なので悪性リンパ腫は否定する.

森下:病変の範囲は管腔の2/3程度で,進行癌を疑う.

結果:L,Circ,Type0-IIc+IIa,60×25mm,por1>por2>tub2>sig,
   pT1b2(SM2, 1.5mm),int,INFb,ly1,v0,pPM0, pDM0

詳しい結果,X線写真,マクロ等は<限定ページ>をご覧下さい.


(記:細見 聡)

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