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第326回7月度例会 活動風景  2013.7.6

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7月に入り夏本番を思わせる猛暑日が続いています。
気象庁の3カ月予報(7〜9月)によると、今夏は日本付近で偏西風が弱いため、平年以上に太平洋高気圧が北に張り出しやすく、広い範囲で気温が高くなりそうとの事。
梅雨明けも早く、熱く長い夏にないそうです。

皆さん、体調管理には十分気を付けてください!それでは研究会のスタートです。

今回の参加者は 97 名です.



プログラム1 第1症例

丹羽幹事が司会を、奥田会員が読影を担当しました。

奥田:胃体中部前壁中央に約30×30mmの陥凹性病変を認める。
胃小区間溝の広がっている所や、襞の太まり部分を含めて病変の範囲と考える。
陥凹の辺縁は不整であるが蚕食像は認めず、陥凹の内面には大小不揃いの顆粒を複数認める。
襞先端には太まりや中断があり、陥凹全体がやや盛り上がっている印象はあるが、炎症性の浮腫による変化だと考える。
病変はどの写真で見ても良く伸びて柔らかい印象であることより、IIc型早期癌、深達度M、未分化型とした。

井上啓:集中する襞先端に太まり所見があることと、後壁の二重造影像でもスタンプ像として現れるほど陥凹辺縁がはっきりしていることより深部浸潤を疑い、IIc型の肉眼形態を示す進行癌とする。

小川:範囲は井上啓先生と同じだが、深達度はSMとする。
集中する襞の一部がスパイラル状に変形しており深達度Mの所見ではないが、明瞭な側面変形が見られないことより進行癌でもないと考える。

市原:まず、病変の範囲と陥凹の範囲という言葉を使い分けるべきである。
襞の中断や陥凹辺縁は粘膜層の変化だが、襞が太くなっているのは粘膜下に何かモノがある為の変化である。
次にそのモノは癌なのか、炎症、線維化細胞、浮腫なのかを考える必要がある。
襞の太まり、接合所見が複数の写真に見られ恒常性があるので、炎症性や浮腫性の変化ではなく癌を疑い、IIc型早期癌、深達度SM massive、未分化型とする。
ただし、大彎に近い部分の未分化型癌であることより、一定の確率でMPに少量浸潤する事を念頭に入れる必要がある。

結果:f Type0 IIc,T1(SM2),por2,INFβ,ly1,v0,pPM(-),pDM(-)
(手術時の報告書に従って記載)


詳しい結果,X線写真,マクロ等は<限定ページ>をご覧下さい.


プログラム2 前回第2症例の説明


細見幹事が担当しました。 X線像、内視鏡像、マクロ像の対比が非常に困難な症例でしたが、市原先生の詳細な解説が加わったことにより、中身の濃いレポート報告になりました。

1ヶ月間本当にお疲れ様でした。




プログラム3 特別講演

『病理組織と胃がんX線画像との対比』
今回の特別公演は、札幌厚生病院 臨床病理科医長 市原 真先生をお招きし、『病理組織と胃がんX線画像との対比』という演題でご講演頂きました。

組織型の違いによる癌の発育形態の相違や、良性潰瘍と癌との間に何故硬さの違いが生じるのかなどを、詳細なシェーマとともにお話しいただきました。
時おり自虐ネタが炸裂していましたが、シェーマで説明して頂いたおかげで、病理の知識がなくても非常に解り易く、病理についてもっと知りたい!という欲求が湧き上がってきました。

また、後半は特殊な症例を提示され、なぜ典型例と違うのか、なぜ特殊な形態になったのかをお話しされました。
「おかしい画像には必ず理由がある。対比を尽くさずして何の診断学か」という言葉に、我々の進むべき道を提示して頂いたような気がしました。





(記:細見 聡)

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第326回7月度例会 活動風景 2013.7.3

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