186回例会 (2001.10.06)

<9月  11月>

 秋,真盛りの10月です.食欲,読書の秋,一年中でも最も過しやすい季節なのにどうしてこんなに暗い話題ばかりなのでしょうか?少しは明るい話題はないのかとボヤきたいところに飛び込んできました高橋尚子選手のベルリンマラソンの世界新記録での優勝です.女子選手で初めて2時間20分を切った素晴らしい記録です.特に感心させられたのはレース前の「あとたった42.195km走るだけ」と言う彼女の言葉です.今回のレースのためにどれだけトレーニングしたのでしょうか,いったい何千キロ走ったのでしょうか,おそらく,自分自身でも納得出来るトレーニングが出来たために出た言葉だと思います.毎日毎日の練習の積み重ねなんでしょうね,本当に感心させられました.考えてみれば我々の消化管撮影においても,日々の勉強の積み重ねが大事だということにおいては同じなのでは?ただマラソンにはゴールはあるが,我々の消化管撮影のゴールは何処にあるのでしょうか?
 それでは見えないゴールに向かって,10月例会のスタートです.
今回の参加者は 76名.


プログラム1 症例検討 第1症例 

 高井幹事が担当しました.
 金城氏が指名されました.
 立位充盈像で体下部から胃角にかけてのラインがイレギュラーになっている所をチェック,続いて二重造影像では,体下部小彎にfold集中を伴う陥凹性病変があり,陥凹内の一つある顆粒にfoldが集中していてその周りが盛り上がり透亮像のように見えるとし,さらにヒゲ状の飛び出しがあることから分化型のIIcで,深達度はMとの意見であった,田中幹事よりfoldの変化があり,顆粒も一つではなく大小の顆粒が数個あり未分化型であるとの意見が出された.司会者より良性の意見の方は無いかと意見を求めたが,会場からは良性の意見は出なかった.
 次に内視鏡,マクロ,病理組織が提示され,江頭先生が詳しく解説されました.
 マクロでは,いくつかのfoldのやせが指摘されましたが,病理では癌は陥凹の後壁部分の一部にしかなくX線写真と合わない感じがしましたが,江頭先生の説明では,切り出しの切片を細かくすれば合致するのではとのことでした.
 最後に司会者の高井よりX線写真を振り返って,foldの変化を指摘する写真が示されました.今回のような症例では,foldを一本一本たどって変化を見極めなければいけないとのことでした.

症例写真は <こちら> から.


プログラム2 レクチャー 「胃X線読影の基礎講座 (3)」

 本田会長が担当しました.
 今回は胃陥凹性病変についてのレクチャーです.
 胃陥凹性病変の分類(上皮性,非上皮性)からはじまりました.次に壁集中の形状について,一点集中,多中心性,ムカデ状に分類.そして,今回のメインテーマとして,IIc(IIc+III)と良性潰瘍との鑑別についての説明に移りました.
 陥凹の数,形,大きさ,内面,深さ,辺縁,周辺,硬さを挙げ,悪性の根拠をどれだけ指摘できるか,特に内面,辺縁,周辺が重要であるとしました.
 続いて内面,辺縁,周辺について,分化型,未分化型にわけて詳しい説明をされました.特にヒダの先端の形状については,本日の第1症例でも問題になりましたが,大いに参考になったと思います.
 撮影法については,撮影部に応じた撮影法を組み合わせ,さらにバリウムと空気を調節することがポイントであるとしました.
 最後に馬渡女史が指名され,実際に提示されたX線写真での症例について,分化型か未分化型かについての意見を求められました.
 次回はもっと多くの症例を提示するとのことです.誰が指名されるのでしょうか.
 詳しい内容は限定ページをご覧下さい.


プログラム3 第2症例検討

 田中幹事が担当しました.
 第1症例同様最後に江頭先生による詳しい説明がありました.
 詳しい内容は症例レポートをご覧下さい.

症例写真は <こちら> から.