185回例会 (2001.09.01)
連日続いた猛暑はいったいどうしたのでしょうか,台風11号が通過したあとはずいぶんと過ごしやすくなりました.秋近しといったところでしょうか,勉強に運動に遊びに最高の季節ですね.勉強といえば当月は特別講演があり参加の会員の方々も多くなりそうです.それでは9月例会のスタートです.
今回の参加者は 91名.プログラム1 前回第二症例レポートの説明
前回の第2症例は久々の大腸の症例で,レポーターの吉本幹事がどのようなレポートを書くのかを期待をしておりましたが,期待したそれ以上良く書けたレポートに仕上がっていました.シェーマはもちろん,特に側面変形について非常に詳しく書かれており,特に変形幅と変形高,側面高についての計算式よりの数値で深達度を想定するのは,非常に興味深く大いに参考になったものと思われます
プログラム2 症例検討 第1症例
福本幹事が担当しました.
坂本前幹事が指名されました.
坂本氏は,病変は前庭部後壁大灣寄りに存在する隆起+陥凹性病変であり,大きさ35×30mm,隆起の立ち上がりは山田II型で結節状で高く,陥凹は内に凸の不整形であり,内面ははっきりした凹凸が無く無構造で,病変は硬さもあり2型進行癌であるとの意見であった.井上(啓)より病変が大灣に接しているにもかかわらず変形が無く,側面像でも殆ど変形が無い事から,さらに圧迫写真で陥凹の形が変化している事から進行癌ではなく,IIa+IIcで深達度はMに近いSMとの意見であった.
会場の意見としては,IIa+IIcが多く,2型進行癌の意見もかなりありました.
結果は,IIa+IIc,深達度はSMでありました.しかし癌のmassはMPに接しており,進行癌と言ってもおかしくはないと思われました,こういう症例の時はいつも言われますが,結果は早期癌であってもX線写真的には進行癌と読影しても良い,果たして今回は当てはまるのか今も考えております.
内視鏡,超音波内視鏡,マクロの説明の場面で今回の特別講演の講師であります安田健治朗先生が特別に詳しく説明していただき,幹事一同,会員の方々も良く理解出来たと思います.
症例写真は <こちら> から.
プログラム3 特別講演 『消化器癌の深達度診断』−超音波内視鏡像とX線像との対比−
安田 健治朗 先生(京都第二赤十字病院 消化器科部長)
超音波内視鏡,名前は知っていても我々にはあまり馴染みのないものでした.先生は,私達にも良く解かるように,X線写真,ビデオ等を使い詳しく説明して下さいました.
超音波内視鏡は小膵癌を見つけるために造られたとの説明から始まりました.さらに癌の深達度診断,SMTの診断に有効との事でした.
深達度診断については,X線写真と内視鏡像,超音波内視鏡像をそれぞれ対比させながらM,SM,MP,SSの症例を提示し詳しく説明されました.
その中でも特に驚かされたのは4型の進行癌についての症例でした,スキルスについては内視鏡,生検でも出ない早期のものでも解るとの事でした.しかしfibrosisの場合は良悪性の判断は出来ないとの事で,粘膜癌でもfibrosisがあれば進行癌に見えるという事でした.SMTについては,内視鏡,X線,病理診断は表面しか解らないが超音波内視鏡では,のう胞,脂肪腫,は判断でき,平滑筋腫,平滑筋肉腫については解らないとの説明でした.最後にビデオにて動画による超音波内視鏡像を実際に見せていただき,普段接する事のほとんどない私達としましては,超音波内視鏡がどういうものか良く理解出来たと思っております.安田健治朗先生有難うございました.
懇親会 『安田先生を囲む会』 三井ガーデンホテルにて