174回例会 (2000.10.7)
10月に入りようやく季節も秋らしくなってきました.ところが突然の鳥取県境港を中心とした地震が起こり大阪も震度3とかなりの揺れがあり,我々にとっては阪神大震災の事が脳裏に浮かびました,かなりの被害があったようですが幸いにも亡くなられた方もなく,それだけが救いだったと思います.
研究会は10月よりいよいよ後半期に突入です,会員の皆さん21世紀の向かって頑張りましょう.今回の参加者は 80名です
プログラム1 なんでもQ&A!
胃体下部〜胃角部にかけて前壁中心に小彎にまで達する3型進行癌が提示されました. 前壁側の情報は腹臥位二重造影像によりほぼ読影可能でしたが,後壁側の情報となると反対壁の病変が写り込み大変読影し難い状態でした.
このようなときはバリウムを抜いた写真にはほとんど意味が無く,漂流像が唯一有効な手段となります.胃体下部〜胃角部の後壁小彎よりにバリウムを流すには右側臥位でいったん幽門側にバリウムを溜め,若干の頭低位をかけたまま背臥位正面〜第1斜位の体位をとります.この時,幽門側に圧迫を加えると有効なときがあります.頭低位は小彎側を流すのに必要ですが,かけすぎると十二指腸にばかりバリウムが流出して目的部位を通過しません.適度な角度は状況に応じて試してみるしかありません.
このように特に高濃度バリウムなどを使用して撮影するときには反対壁の情報が加味されていることを念頭に置き,バリウムを漂流させることにより病変が無いことを確認する必要があります.
病変の読影については和田病院の田中幸一先生が陥凹底の性状やFold先端の変化を中心に丁寧に指導して下さいました.
プログラム2 症例検討 第1症例
坂本幹事が担当しました.
今回のテーマは噴門下部〜胃体上部後壁です.
キーフィルム(半臥位第2斜位)が提示され,会場より武智,園田の両氏が指名され,区域をマップ上に引いてゆくことになりました.その間に病変の読影に桑江氏が指名されました.司会者の説明によると噴門下部〜胃体上部後壁の後壁中央は以外と病変を見落としやすく,バリウムを淡く漂わせた撮影が必要であると強調していました.
区域の引き方については,両氏ともにほとんど同じでよく出来ていましたが,一ヶ所だけ前壁の範囲に違いがありました.これは第2斜位での前壁の見える範囲のとり方の違いによるものと思います.
武智氏は,沖縄での日放技学術大会で画像評価法を使って発表されるとのこと,さすがに良く勉強されているのが今回の事でも良く解りました,沖縄での発表でも頑張って頂きたいと願っております.
症例写真は <こちら> から.
プログラム3 レクチャー 「高濃度バリウムの特性を活かした撮影法」
大阪がん予防検診センターの久保氏が担当しました.
レクチャーは癌発見率についてから始まりました.氏は癌発見率を感度と言う言葉におきかえて,内視鏡,直接撮影,間接撮影についてグラフで表し比較されました.当然の事ながら感度については,内視鏡が一番高く,直接撮影,間接撮影となります.間接撮影は多人数の検査を行わなければならず1名の撮影時間が2分半から3分という制限もあり厳しいようです.高濃度バリウムを使用するのはその感度を少しでも上げるためと思われます.成果としては,まだ高濃度バリウムでの検査人数が少ないために比較するのはまだ無理があるという事ですが,要精検率は確実に下がっているということで,これからの集計に期待したいと思います.
さらに久保は高濃度バリウムを導入するにおいて四国にあるバリウム会社まで出向き,バリウムの実験を行ったそうで,その中で胃の溶液量(発泡剤の水15ccの場合)が10cc増える毎にバリウム濃度が10%低下するという事が印象に残りました.
詳しい内容は <こちら> を御覧下さい.
プログラム4 症例検討 第2症例
福本幹事が司会を担当しました..
江頭先生によるマクロ,病理組織の詳しい説明が行われました.
詳細は例会レポートを御覧下さい.
症例写真は <こちら> から