173回例会 (2000.9.2)

<8月  10月>

9月に入ったとはいえまだまだ暑い日が続きます,近畿の水がめ琵琶湖の水位もマイナス80cmを超え,いよいよ取水制限も検討されている週末,特別講演の例会のスタートです.今回の参加者は 82名です.


プログラム1 なんでもQ&A!

今月のQ&Aは小林画像評価委員が担当しました.3組の間接フィルム(ゾルタイプバリウム145% 200ml, 準高濃度バリウム 175% 175ml, 高濃度バリウム200% 145ml)を掲示し,バリウム濃度や量などの違いによってどのような撮影法を行っているかを紹介しました.各施設の考え方によって,選択するバリウムと撮影法の組み合わせは異なると思います.


プログラム2 前回第2症例レポートの説明

7月に続き,8月も司会を担当した井上(清)幹事がレポーターも兼ねたレポートです.
症例は非常に珍しい,成人T細胞白血病(ATL)による胃病変でした.
 感心させられたのは,今回のレポートでの井上(清)の説明です,写真を提示しながら一つ一つ丁寧に流れるように説明がなされ非常に印象的でした.
 レポートには詳しく記載されています,是非御覧下さい.


プログラム3 症例検討 第1症例

森永画像評価委員が担当しました.
今回のテーマは,胃角部前壁です.
 まず症例写真が提示されました.撮影者は病変に気付かずに現像後に病変を見つけ追加撮影したもので,非常に浅い陥凹性病変であり,私のような未熟ものならおそらく現像後の写真を見ても見逃していたのではと思わせる症例でした.
 次に高井,後藤,両名の方が指名され,正面像と腹臥位第2斜位二重造影像での範囲をマップ上に作図していった,正面像は腹臥位二重造影像では病変が指摘できないため圧迫像での作図となったが,2人共完璧に出来ていましたが,第2斜位像では,大彎線,小彎線の走行,胃角部の位置が少し違っていたようである.森永より腹臥位第2斜位の角度が強くなるほど胃角部の見える範囲が狭くなるとの説明があり,自作の胃模型を用いて実際に胃角部の見え方がどう変わるかについての説明がなされ,よく理解できたと思います.

症例写真は <こちら> から.


プログラム4    特別講演  演題 「表在型食道癌の描出と読影法」

加藤久人先生(東京都立駒込病院消化器内科医長)

 普段我々があまり経験する事が少ない表在型食道癌についての講演を聞こうと,多くの会員で会場は埋まりました.
 講演が始まり,驚いたのは食道の精査においても胃と同じようにプロナーゼ,微温湯で前処置をする事です,考えてみれば胃より難しい食道の粘膜を描出するためには当然の事なのでしょうが,さらに,経口法と経管法ではバリウムの濃度が違うという事でした.(経口法130〜150%,経管法230%)
 症例写真がスライドに写された時は,さらに驚きです!! 今までに見たこともない,深達度がm1m2の症例が次々写し出されるのです,先生はその一枚一枚について詳しく解説され,いつのまにか予定時間が40分以上過ぎていました,しかし会場の会員は写し出される症例写真の美しさに目を奪われているようで,講演が終わってもその余韻に浸っているようでした.

 最後に本田会長が,我々が一生涯でも見れないだけの症例を見せて頂き,有難うございましたと言われましたが,確かにそのとうりだと思います.
 加藤先生,素晴らしい講演有難うございました.
 詳しい内容は,まもなく発刊される会誌21号を御覧下さい.